伝説のロックバンドBOΦWYのボーカリストとして活躍し、1988年のバンド解散以降はソロとしてファンから圧倒的な支持を得ている氷室京介。今年はソロデビュー20周年という節目の年にあたり、ソロ活動20周年を記念したツアー『KYOSUKE HIMURO 20th Anniversary TOUR 2008“JUST MOVIN' ON”-MORAL~PRESENT-』が7月20日から9月28日まで開催された。氷室京介の集大成とも言える構成の同ツアーから、WOWOWでは9月14日横浜アリーナで行われた追加公演の模様を10月26日(18:00~20:00)に放送。全てのロックファンに捧げる注目のライブを誌上レポートする。
開演前の横浜アリーナ。ソロデビュー20周年を迎えた氷室京介を祝おうと全国各地から熱心なファンが駆け付けた。女性ファンが多いと思いきや、意外に、男性ファンも多いこと。若いファンから50代まで幅広いオーディエンスで会場は埋め尽くされた。
氷室が全身黒づくめで登場!
オープニング前、観客は立ちながら手拍子で今か今かと開演を待ちわびる。待つこと5分。本日の主役である氷室が全身黒ずくめで登場! 会場の至るところからから"ヒムロ~!"コールが沸き起こる。その声援に応え、オープニングナンバーは『SLEEPLESS NIGHT』を演奏。1曲目からエンジン全開だ。マイクを客席に向けて会場を煽る氷室にオーディエンスが素早く反応。続いて『NATIVE STRANGER』、『SWEET REVOLUTION』と立て続けに縦ノリビートを炸裂させる。会場はノリノリ状態だ。ステージが始まったばかりだというのに、この盛り上がりは凄い。演奏する側と観客が一体化した瞬間をいきなり体験することになった。
3曲目の『SWEET REVOLUTION』が終了して、氷室の「帰ってきたぜ~! 今日は東京公演最終日だ! 思いっきり盛り上がろうぜ!」とのMC。氷室の声を聞いた観客も満足の様子だ。MC後は16ビートのロックチューン『WILD ROMANCE』。開始3曲の縦ノリビートとは異なるものの、観客の手拍子が鳴り止まない。もちろん、スローナンバーも同ライブの見どころだ。8曲目の『MISTY~微妙に~』から10曲目の『ダイアモンド・ダスト』のスローナンバー3連発は、氷室の歌唱力が味わえる絶品のナンバー。特に『ダイアモンド・ダスト』で魂が込めて歌い上げる姿に、手拍子もしないで聴き入る観客の姿が印象的だった。
今回はソロ20周年ライブということもあり、『ANGEL』や『MISTY~微妙に~』、『CRIME OF LOVE』、『SLEEPLESS NIGHT』などソロの代表曲を凝縮した構成。だが『MARIONETTE』、『FUNNY BOY』などBOΦWY時代の名曲も披露され、往年のファンにとっては嬉しい限りである。「最後に俺が20年大事にしてきた8ビートのロックンロールで締めたいと思います」という2回目のMCを挟み、1988年7月に発表された記念すべきソロ1stシングル『ANGEL』(20曲目)で締めくくった。冒頭とサビでは観客が大合唱。感動ものだ。会場も地響きのように揺れ動く。そして室内の横浜アリーナにも関わらず花火が打ち上げられた。これには筆者のみならず、会場に居る誰もが驚いたことだろう。最後は投げキスをしてステージを後にした。
『ANGEL』演奏後、アンコールを望む観客の手拍子が鳴り止まない。待つこと約10分。再び氷室がステージ上に登場し、その姿を目の前にしたオーディエンスが狂乱する。そんなファンの熱を少しでも冷めさせようと、氷室はアコースティック調の『魂を抱いてくれ』を披露した。続いて『DEAR ALGERNON』を挟み、『RAINY BLUE』を演奏。この『RAINY BLUE』は必見! 氷室のツアーメンバーとして定着した本田毅(ギター)と奏でるツインアコースティックギターは実に心地良い。そしてアンコール4曲目の『LOVER'S DAY』は、今回のツアーでキーボードを担当した大島俊一とのコラボレーション。大島のピアノと氷室のボーカルはシンプルで美しい。5曲目からはロック調に戻り、『CLOUDY HEART』、『LOVE&GAME』、『JEALOUSYを眠らせて』を披露。そしてラストは『SUMMER GAME』。ラストに相応しい盛り上がりを見せた。「愛してるぜ! 東京ベイベ~!」とコメントを残してステージを去り、コンサートの幕が閉じた。
20年という歳月は、言葉で表すほど簡単な数字ではない。しかも氷室は、BOΦWY時代も合わせると、日本のロックシーンに27年もの長い間君臨してきた。氷室は語ってくれた。「今回のツアーは広い場所ばかりで全国やってきたんだけど、どこもたくさんの人が集まってくれて、最高の21年目が迎えられると思う。子供の頃から余り親にも期待されてなくて、大した人生じゃなかったけど、こうして同じキャリアを20年も続けてこられて、俺の人生はパーフェクトだね」と。ファンに対して誰よりも感謝をしている彼の気持ちを音で表した記念すべきライブを、しかとその目で確かめて欲しい。
『KYOSUKE HIMURO 20th Anniversary TOUR 2008“JUST MOVIN' ON”-MORAL~PRESENT-』はWOWOWにて10月26日(18:00~20:00)に放送する。