夏休みも終わり、おサイフも預金残高も心細くなる季節がやってきた。でも、仕事帰りやオフにはしっかり気分転換を楽しんで、心身ともにリフレッシュしたいもの。気分転換には、ショッピングや映画もよいけれど、たまには美術館で名画を見るというのはいかが?
金曜限定ペア割引にドレスコード割引
最近は美術館の料金もじわじわ上昇傾向にあり、企画展のめぼしいものは軒並み1,000円以上。1,500円オーバーのものも珍しくない。
少しでも安く楽しむ方法として、前売り券を買う方法があるが、会期がスタートしてからでは窓口で買うことはできない。金券ショップで前売り券が格安で売られていることもあるが、最寄りに品揃え豊富な金券ショップがない人は利用できないし、あってもお目当てのチケットがあるとは限らない。
そんなとき、美術館によっては、新しい割引があることがあるので利用しない手はない。
たとえば、東京都美術館(上野)で開会中の「フェルメール展」(一般1,600円、~12月14日まで)は、金曜日の夕方5時以降の入場に限って「金曜限定ペア得ナイト券」2,500円を発売。一人当たり1,250円で見ることができる。平日は原則午後5時までだが金曜日だけは午後8時まで(入室は閉室の30分前)鑑賞可能。ペアなら男女を問わないので、カップルでも友だち同士でもOKだ(2名同時入場が条件)。
同じく上野エリアの国立科学博物館の「黄金の国ジパングとエル・ドラード展」(一般1,400円、~9月21日まで)にも「金曜限定ペア得ナイト券」2,000円がある。こちらも金曜日は午後8時まで鑑賞できる。
ライブコンサートではバンドのTシャツを着ていくと料金が安くなるドレスコード割引があることがあるが、美術展でもドレスコード割引が設定されていることがある。
東京都庭園美術館(白金)では「船越桂 夏の邸宅」(一般1,000円、9月23日まで)を開会中。船越桂は木彫りの人物像で名高いアーティストだが、この企画展にはドレスコード割引「木から生まれたもの」がある。木でつくられたもの(ボタンやアクセサリーなど)を身につけて来館すると、団体料金(一般800円)で入場できる。残暑きびしい折、扇子や団扇の類も木製なら割引になるので、チケット購入の際に申し出よう。庭園美術館は今回以外でも、テーマごとにドレスコード割引がされていることがよくあるので要チェック。
サントリー美術館では「小袖 江戸のオートクチュール展」(一般1,300円、~9月21日まで)を開会中だが、こちらは和服で行くと当日料金よりも300円割引になる。サントリー美術館は水、木、金、土曜は午後8時まで開館しているが、サイトでは18時以降100円オフになる夜間入場割引券をダウンロードできる。美術展の料金や割引は、企画展ごとに設定されているので、美術展があれば事前にサイトでチェックしてみよう。
約2万8,000円分の入場券が2,000円に!
「東京・ミュージアムぐるっとパス2008」はご存知だろうか? 東京都内の61の美術館、博物館、動物園、水族館などの入場券または割引券が1冊につづられたチケットブックだ。
1冊2,000円で、有効期間は最初の利用日から2カ月間。パスが使える施設の窓口などで販売されている。
ぐるっとパスの入場券でそのまま入れる施設と、企画展の割引を受けられる施設などがあるが、入場券付きの施設だけでも約2万8,000円分の入場券がセットされているのでおトクだ。有効期間があるので、全部行くのはむずかしいが、上手に使えばレジャー費、教養娯楽費の大幅節約になる。
たとえば、白金エリア周辺の1日コース。
東京都庭園美術館「船越桂 夏の邸宅」(一般1,000円)
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松岡美術館「フランス近代絵画展~モネ、ルノワールからピカソ」(一般800円)
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国立科学博物館附属自然教育園(一般300円)
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東京都写真美術館「ヴィジョンズ・オブ・アメリカ」(一般500円)
これで合計2,600円になるのでこれだけも十分モトがとれる。
有効期限内なら、1冊でほかの美術館や動物園、水族館にも行くことができる。割引券だけの施設もあるが、入場できる施設も多いので、いまから芸術の秋に向けて、ミュージアム巡りをするのも楽しい。
ミュージアム巡りをすると交通費がバカにならないが、「ぐるっとパス」と東京メトロの1日乗車券2枚、それに1日乗車券特典施設ガイドブック「ちか旅」1冊がセットになった「メトロ&ぐるっとパス」が2,800円で発売中。東京メトロの1日乗車券は710円なので「ぐるっとパス」2,000円と710円×2枚で合計3,420円のものが2,800円のセットになっているのでトクだ。難点はこのセットの発売個所が限られ、東京メトロの定期券売り場でしか買えないこと。このセットの詳細や発売個所は東京メトロのWebサイトでチェックしよう。
都営交通(都営地下鉄、都バス、都電など)の1日乗車券2枚とセットになった「都営deぐるっとパス」(2,800円)も発売中だ。
丸田潔(マルタキヨシ)
1952年東京都生まれ。76年早稲田大学文学部卒業。編集プロダクション勤務を経て90年フリーに。マネーライターとして生活情報誌、主婦向け雑誌、マネー誌などで活躍中。金融商品や保険に関する記事のほか、家計や節約の実例記事を数多く手がけ、今までに取材した貯蓄・節約体験の実例は1,000例を超える。近著に『お金がたまる人たまらない人ーなぜあの人はお金がたまるのか』(主婦の友社)