野村総合研究所は、国内9業界の売上上位企業が2006年度に発行したポイントやマイレージなどの金額推計、および年間発行額推移予測を発表した。それによると、ポイント/マイレージ(以下、ポイントで統一)の2006年度発行総額は少なくとも6,600億円程度となり、今後も規模は拡大し2012年度には7,800億円超まで達すると見込まれている。
これは、国内9業界でポイントを提供している売上げ上位企業を対象にしたもので、ポイント発行額は「売上げ総額(航空は有料の旅客数にマイルを掛けた数値)×ポイント適用率×ポイント還元率」で計算された。ポイント適用率は、総売上のうちポイント付与に関連している金額の割合を示したもので、各企業の有価証券報告書のポイント引当金額や、同社の行った消費者アンケート等をもとに同社が設定した。
推計結果では家電量販店が最もポイント発行額が多く、2位がクレジットカード業界、3位が携帯電話業界と続く。家電量販店については、売上金額は他業界と比較して大きくないが、ポイント適用率、還元率が高い点が発行額の多い要因だ。クレジットカードは利用すれば必ずポイントが付くため適用率は100%だが、還元率が0.5%と低いため取扱高と比較して発行額が少なくなっている。
"マイラー"の存在で有名な航空業界だが、マイレージ対象外の航空券などがあるためか、適用率は意外に低いようだ。スーパー、コンビニ等も適用率が低く、ポイント対象外の商品やポイントを貯めていない顧客が多いことが推測されるが、今後の伸びが予想される業界でもある。
同社では、実際のポイント発行総額は6,600億円を上回っている可能性が高いと見込んでいる。購入金額に関係なくキャンペーン等で付与される場合や、VIP会員や特定の商品の還元率が高いなどの状況があるためだという。
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日本におけるポイント・マイレージの年間発行額予測 |
ポイントの年間発行額予測では、今年(2008年度)は7,092億円と2006年度より約400億円増加。さらに、2012年度には7,874億円を予測している。2007年、イオングループのWAONやセブン&アイホールディングスのnanacoが導入されるなど、日常生活に根ざしたサービスを提供していて、顧客基盤も大きい企業によるポイントサービスの浸透が予想されることが背景にある。またこれらの浸透により、ポイントによる送客を期待する企業や、ポイントの保有に対する顧客の意識が高いと判断する企業がポイントサービスの導入を進めていくことが考えられると分析している。