ラグビー・トップリーグの頂点を決めるマイクロソフトカップ(準決勝17日・決勝24日)開幕を前に、出場4チームの監督が本音トークをぶつけ合う「ぴあトークバトル スポーツ快楽主義 どうなる!? トップリーグ プレーオフ マイクロソフトカップ」が12日、都内で開催された。4監督は本音とホメ殺しを応酬しつつ、トーク会場に掲げられた優勝カップを手中に収めようと、闘志をみなぎらせていた。

マイクロソフトカップ出場4チームの監督による舌戦が繰り広げられた

準決勝はリーグ戦1位の三洋電機ワイルドナイツと同4位の東芝ブレイブルーパスが秩父宮ラグビー場で、同2位のサントリーサンゴリアスと同3位のトヨタ自動車ヴェルブリッツが近鉄花園ラグビー場で対戦する。この日の会場は、200人を超えるラグビーファンが集まり満席状態。冒頭、どのチームのファンが多いのか観客の拍手量で測られたが、準決勝の組み合わせでいうと三洋電機とサントリーに軍配があがった。

三洋電機は昨シーズンの5位から、今季はトップリーグ初の13戦全勝と大躍進。同チームの宮本勝文監督は「予想外のチームから来た宮本です。しゃべるのは清宮に任せます(笑)」と場内を沸かせると、サントリー・清宮克幸監督は「トークバトルが前哨戦ならば、ぶっちぎりで勝ちます!」と火花を散らせた。

トークは質問事項に4監督がイエス・ノーの札を上げるという形式で進行。「シーズン前に思い描いた通りに戦えたか」との問いには、全勝の三洋電機を除く3監督がノー。とりわけトヨタ自動車の石井龍司監督は「ラインアウトの下手さはトヨタの伝統。反則数も多く、毎シーズンのようにワーストを争っていたが、今季はちょっとだけ向上した」と笑顔で語りながらもシーズンでの憤りを思い起こしていた。

東芝の瀬川智広監督

話題は、監督が試合を見守るポジションに。ラグビーでは監督がメインスタンドに座るのが一般的だが、司会役を務めるラグビージャーナリスト・村上晃一氏から「どうしてグラウンドの横にいるんですか?」と尋ねられた東芝・瀬川智広監督は、「高いところに慣れていないこともあるが、選手と近いところで見たい」と回答。試合中もかなりうるさく指示を飛ばしているという。対照的なのは宮本監督で、試合中はもちろんハーフタイムにもほとんど指示を出さない。「楽しく試合を見たいから。対戦相手のプレーを見るのも面白い」というのが理由だそうだ。

サントリーの清宮克幸監督

「今季、期待以上に活躍した選手がいるか」と問われ、清宮監督はPR尾崎章、瀬川監督はNO.8豊田真人を挙げた。三洋電機とトヨタ自動車はきっと、選手全員が期待通りだったのだろう。サントリーは昨年9月、フランス合宿を行ったが、当時選抜外だった尾崎は日本に居残った約2週間で化けたという。一方、豊田は新人ながら今季全試合に先発。「ケガをしないし、すごい吸収力で成長した」と瀬川監督は目を細めた。


トヨタ自動車の石井龍司監督

質問が「マイクロソフトカップの秘密兵器はいるのか?」に及ぶと、清宮監督が3監督の苦笑いを尻目に自信のイエス。「誰もイエスを挙げないと思ったから」と前置きした上で、「うちはゲームプランが毎試合違うので」と強調する。片や石井監督は「トヨタには相手に合わせる器用さがないので、スタイルを貫く」と応戦した。


三洋電機の宮本勝文監督

瀬川監督は「秘密兵器があるならもっと早く使った」としつつ、5年間主将を務めたCTB冨岡鉄平と今季から主将のSO廣瀬俊朗が各々、持ち味を発揮している点を評価。対する宮本監督は「基本は選手に任せる」とした上で、SOトニー・ブラウンのゲームメイクとCTB榎本淳平のキャプテンシーに期待をかけた。付け加えて、ずっと坊主頭だった榎本が髪を伸ばしているのがゲン担ぎであり、さらに天然パーマであることもカミングアウトし、会場を沸かせた。


観客から寄せられた質問にも、4監督は真摯に答える。「自分のチームを動物に例えると?」という難問には、宮本監督「馬。競馬じゃなく、馬術で飛越するような馬」、瀬川監督「東芝のマスコットでもあるオオカミ」、石井監督「何もないですね……自分だったらゴリラ」、清宮監督「僕は人間でありたい」と続く。

「トップリーグでの外国人枠(同時出場2人まで)が今後拡大し、外国人だけのチームができてもいいのでは」というファンの声に、ラグビーでは帰化しなくとも、外国人選手が日本代表に加われることもあり、「ラグビーは国際スポーツ。代表強化のため外国人選手への優遇はあってもいい」(宮本監督)と切り返した。また清宮監督は「日本のフィフティーンに、外国人選手は何人まで許容できるか」と観客に逆質問をする場面も。結果、現行と同レベルである5人程度を支持する声が多く、やはりファンは、日本人による強いジャパンを望んでいることを窺わせた。マイクロソフトカップを戦う選手たちは、その新たな一歩を示すことができるだろうか―。熱戦は間もなく幕を開ける。

トーク後には、マイクロソフトカップの試合球などを抽選でプレゼント