国土交通省と、独立行政法人自動車事故対策機構は、自動車の安全性能の比較評価を実施して、最も優秀な自動車に対して表彰を行う「自動車アセスメントグランプリ」を実施、最も評価点の高かったトヨタのエスティマがグランプリを受賞した。

フルラップ前面衝突テストに使用されたホンダCR-V

自動車アセスメントは、国土交通省と自動車事故対策機構が、安全な自動車の普及を促進する目的で平成7年度から開始したクルマの安全性評価。直近1年間の販売実績が上位の車種から、1メーカー6車種を上限として対象車を選定するほか、メーカーから委託試験の申し出があった車種も選出される。平成18年は、軽自動車9車種、小型・普通乗用車9車種(うちミニバンとワンボックスは4車種)の計18台と、メーカーから委託があった3台、合計22台が対象車種となった。

評価基準となる試験の内容は、フルラップ前面衝突試験、オフセット前面衝突試験と、側面衝突試験、100kmからの制動距離を計測するブレーキ性能試験に加え、歩行者が自動車に衝突した場合に歩行者の衝撃を低減する「歩行者頭部保護性能」の計5種類。運転席では全ての衝突試験の点数を合計して星6段階で評価、助手席ではオフセット衝突試験を除いた点数を合計して星6段階で評価を行う。最上位となる運転席、助手席とも星6つを獲得したのは、軽自動車がスバル ステラとホンダ ゼスト、1,500cc以下の小型・普通乗用車ではトヨタ オーリス、カローラアクシオと、2,000cc以上の普通乗用車はホンダ CR-V、座席3列以上のワンボックスではトヨタ エスティマと、ホンダ ストリーム、マツダ MPVと対象者3台全て。

平成18年度の創業評価の結果は、試験対象の半数が軽自動車であったこともあり、運転席の平均星獲得数は4.3個と前年の5.4個を下回ったほか、助手席でも5.8個から5.5個に減少している。しかし、軽自動車ではホンダのゼストが運転席、助手席とも星6個を獲得し、ほかのクルマも大半が星5個以上と条件の厳しい軽自動車でも安全性能が向上していることがわかる。

グランプリを受賞したトヨタの江崎正隆製品企画チーフエンジニア(右)と自動車事故対策機構の金沢悟理事長(左)

グランプリを獲得したトヨタ エスティマの試験車両。これは側面が大きく凹んだ側面衝突試験に使用されたもの

今回受賞したエスティマは、評価対象者中では運転席、助手席とも星6つを獲得したほか、歩行者頭部保護性能評価でも最高位となるレベル5を獲得し、ただ1台の「優秀車」に選定された。グランプリは優秀車の中から選ばれるため、グランプリはエスティマに確定した。なお、エスティマはブレーキ性能では乾燥路で41m、ウェット路でも45.5mという結果を残している。 同日開催された発表会では、グランプリの賞状とクリスタルのトロフィーがトヨタの製品企画チーフエンジニアを務める江崎正隆氏に授与された。江崎氏は受賞の挨拶で「来年は私ではないかもしれないが、別のものがこの場所に立てるように努力したい」と語った。 なお、当日は会場となった大手町サンケイプラザの駐車場に、テストに使用された受賞したエスティマを含む成績のよかった5台の実車が展示された。

会場に展示された日産ブルーバードシルフィ。側面衝突試験に使用されたもの

ホンダCR-V。フルラップ正面衝突試験に採用されたもの。かろうじてHロゴだけが見える

トヨタ カローラアクシオ。オフセット衝突試験に採用されたもの。正面からではほとんど車種が判別できない

軽自動車として運転席、助手席とも星6つを獲得したホンダ ゼスト

会場にはチャイルドシートアセスメントの優良品も展示された。