今回は、図形(テキストボックス)を活用した文書の一例として、Wordで操作マニュアルを作成する方法を紹介しよう。社内で運用している業務アプリなどの「操作マニュアル」を用意しておけば、新人に使い方を教える手間を大幅に削減できるようになる。さらには、何回も繰り返される同じ質問に対応する手間の削減、トラブル発生時の自己解決などにも操作マニュアルが役に立つだろう。
もしかすると、「わざわざマニュアルを作成するのは面倒だから」という理由で、そのつど口頭で教えている職場も多いかもしれない。しかし、そういった場当たり的な対応が業務効率化を妨げている可能性もある。教える手間の積み重ねだけでなく、「新人は先輩に質問しづらい」といった事情も考慮すれば、ぜひともマニュアルを作成しておくのが理想的だ。
もちろん、最初は「とりあえず簡易的なマニュアルを作成してみて……」といった感じで始めてみてもかまわない。その後、実際に使いながら少しずつブラッシュアップしていくとよいだろう。
レイアウトの違いによる文書の比較
ということで、実際にWordで操作マニュアルを作成した例を紹介していこう。まずは、文章だけでマニュアルを作成した例だ。重要な部分を「赤字、太字にする」といった工夫は見られるが、お世辞にも「わかりやすいマニュアル」とは言い難い。
続いては、先ほどの文書に画像(画面キャプチャ)を追加した例だ。やはり、画像のある文書のほうが親しみやすく、「読んでみよう」という気になりやすい。
最後の例は、文書のレイアウトを工夫して、実際に操作する部分を「赤色の枠線」で囲った例だ。プロのデザイナーが作成したようなマニュアルとまでは言わないが、同じ内容(文章)の文書であっても、かなり「読みやすさ」が向上していると感じられるはずだ。
このように自由レイアウトで文書を作成するときは、図形(テキストボックス)の活用が欠かせないテクニックとなる。このとき、補足説明などをコラムとして別枠で表記しておけば、「実際の操作手順」と「関連知識」を明確に分けることが可能となり、より理解しやすいマニュアルに仕上げることができる。
文書の余白設定と画像の配置
それでは、先ほど示した文書を例に、操作マニュアルの具体的な作成手順を紹介していこう。
今回の例のように「画像」と「説明文」を横に並べて配置するときは、紙面の幅を広く使えるように「余白」を小さめに設定しておくとよい。
続いて、文書のタイトルを入力し、1枚目の画像を配置する。画像の配置方法(レイアウト オプション)は、初期設定である「行内」のままでかまわない。
同様の手順で2枚目以降の画像を配置していき、画像と画像の間に2〜3行くらいの間隔を空ける。このとき、画像のサイズを数値で指定して「画像の幅」を統一しておくと、整然としたレイアウトに仕上げることができる。
図形を使った手順番号の作成
次は、手順番号の部分を「図形」で作成していこう。今回の例では、画像の形状に「角丸の四角形」を選択した。この図形を適当なサイズで描画する。
続いて、図形のデザインを指定する。ここでは手軽にデザインするために「図形のスタイル」で書式を指定した。もちろん、図形の塗りつぶし、枠線、効果といった書式を自分で指定してもかまわない。
図形のデザインを指定できたら、図形内に「1」の文字を入力して適当な書式を指定する。また、文字が図形内の上下中央に配置されるように、「段落」ダイアログで「1ページの行数を指定時に文字を行グリッド線に合わせる」をOFFにしておく。
さらに、図形内の余白も調整しておこう。「図形の書式」タブを選択し、「図形の書式設定」を呼び出す。その後、以下の図のように操作して上下左右の「余白」を0mmに設定しておくと、以降の作業を進めやすくなる。そのほか、必要に応じて「テキストに合わせて図形のサイズを調整する」も指定しておくとよい。
なお、これらの書式指定については前回(連載第56回)で詳しく説明しているので、よく分からないという人は事前に一読しておくとよいだろう。
テキストボックスを使った説明文の配置
次は、説明文の部分を「テキストボックス」で作成していこう。「図形」コマンドから「テキストボックス」を選択し、適当なサイズのテキストボックスを描画する。
描画したテキストボックスには、細い黒色の枠線が表示されている。この枠線は不要なので、「図形の枠線」→「枠線なし」を選択して枠線を消去する。
続いて、テキストボックス内の余白を0mmに設定する。「図形の書式設定」を開き、以下の図のように設定を変更する。文字の「垂直方向の配置」は「上揃え」のままでかまわない。
あとはテキストボックス内に説明文を入力して、適当な書式を指定するだけ。なお、今回の例では、1行目の「段落後」に0.5行の間隔を設けることにより、「見出し」と「本文」の間隔を調整している。
実際に操作する場所を図形で囲む
次は、実際に操作する部分を示す「囲み線」を描画していこう。といっても、特に難しい作業はない。「四角形」の図形を描画して、その書式に「塗りつぶしなし、赤色の枠線、影の効果」を指定すれば、以下の図のような「囲み線」を描画できる。
これで「手順1」の作成は完了だ。同様の操作を繰り返して「手順2」以降を作成していけばよいが、なにかと書式指定が多いため、普通に作業を進めていくと手間がかかってしまう。そこで、効率よく作業するためのテクニックを補足しておこう。
効率よく作業するためのテクニック
「手順1」をひととおり作成できたら、「手順番号」と「説明文」を1つのオブジェクトとして扱えるようにグループ化する。「Shift」キーを押しながら各図形(テキストボックス)をクリックしていき、2つの図形を同時に選択する。続いて、「図形の書式」タブで「グループ化」を指定する。
ここからは「手順2」以降を効率よく作成するためのテクニックを紹介する。先ほどグループ化した「手順番号」と「説明文」を選択し、その枠線を「Ctrl」キーを押しながらドラッグする。すると、同じ内容のオブジェクトを複製できる。このとき「Shift」キーも同時に押しながらドラッグすると、ちょうど真下の位置にオブジェクトを複製できる。
あとは、手順番号を「1」→「2」に書き換えて、その説明文も書き換えるだけ。すでに書式は指定されているので、いちいち書式を指定しなおす必要はない。文字を書き換えるだけで作業が済む。
実際に操作する場所を示す「囲み線」も「Ctrl+ドラッグ」で複製することが可能だ。その後、位置とサイズを調整すれば「手順2」の作成は完了となる。
なお、操作手順そのものの説明ではなく、注意事項などを補足説明として追加しておきたい場合もあるだろう。この場合は、新たにテキストボックスを描画して、適当な書式を指定すればよい。以下の図では、図形の塗りつぶしに「薄い黄色」、枠線に「オレンジ色」を指定して補足説明(コラム)を作成している。なお、図形内の余白は初期設定のまま変更していない。
もちろん、この補足説明も「Ctrl+ドラッグ」で複製することが可能だ。そのつど書式指定を行うのではなく、必要になったときに複製して再利用するとよいだろう。参考までに、ここまでの作業で作成した「操作マニュアル」の全体像を示しておこう。
図形やテキストボックスといったパーツが多く、また多くの書式指定を行う必要があるため面倒に感じるかもしれないが、それは最初の1回だけ。同じパーツは「Ctrl+ドラッグ」で複製して再利用できるので、実際にはそれほど手間はかからない。あとは慣れの問題だ。
最初のうちは少し戸惑うかもしれないが、図形(テキストボックス)を使って文書をレイアウトする方法をマスターしておけば、自由配置の文書も問題なく作成できるようになる。気になる方は、この機会にいちど試してみるとよいだろう。






















