この半導体ニュースのまとめ

・フルヤ金属が約45億円を投じた新千歳工場の竣工式を実施
・半導体製造装置向け熱電対・高純度石英保護管の生産能力を約2倍へ
・つくば工場との相互補完体制を整え、2027年春の本格操業開始を予定

フルヤ金属は9月15日、北海道千歳市に建設した「新千歳工場」において、9月14日に竣工式を実施したと発表した。

設備投資の金額は約45億円で、半導体製造装置に用いる貴金属熱電対(温度センサ)や、それを保護する高純度石英保護管などの生産能力を従来比で約2倍へ引き上げる。2026年秋に稼働し、2027年春の本格操業開始を予定している。

同社は2010年に北海道へ進出し、千歳工場を石英加工の専門拠点として運営してきた。進出から15年を経て工場を移転・拡張し、AIやデータセンターの拡大に伴う先端半導体市場の成長へ対応する。

  • 新千歳工場の外観

    フルヤ金属の新千歳工場の外観 (出所:フルヤ金属)

半導体製造装置向け熱電対と石英保護管を増産

半導体製造工程では、ウェハの酸化や熱拡散などの処理に拡散炉が用いられる。炉内は1000℃を超える高温となる場合があり、ウェハの面内で均一な処理を行うには、温度を高精度に測定・制御する必要がある。

フルヤ金属が製造する貴金属熱電対は、異なる金属線の接合部に温度差が生じた際に発生する電圧を利用して温度を測るセンサで、高温下でも安定した計測が求められる半導体製造装置などで使用されてきた。

また、高純度石英保護管は、熱電対を高温や炉内の雰囲気から保護する部材となる。半導体製造工程で使用するため、耐熱性だけでなく、製造環境を汚染しない高い純度や加工精度も求められる。

新千歳工場は、こうした熱電対と石英保護管の生産機能を拡張・集約し、先端半導体向け製造装置の需要拡大に応えることを目的に建設された。

素線から完成品までの一貫生産体制を構築

新工場の敷地面積は1万5061.16m2、延床面積は6413.45m2。クリーンルームを整備し、半導体分野で求められる清浄度と品質要求に対応するという。

つくば工場では、独自の「R-SP製法」を用いて、高強度かつ長寿命な貴金属熱電対の素線を製造する。新千歳工場では、熟練技術者が火加工などを用いて高純度石英保護管を加工し、熱電対素線と組み合わせて完成品に仕上げる。

素線の製造から石英加工、製品化までをグループ内で一貫して行うことで、品質管理を強化するとともに、顧客の装置仕様や使用条件に応じた製品供給を可能にする。 また、生産能力の拡大に加え、事業継続計画(BCP)を強化する役割も担う。同社によると、つくば工場と新千歳工場の間で生産機能を共有し、相互に補完できる体制を整備する。自然災害や設備トラブルなどによって一方の拠点が稼働できなくなった場合にも、もう一方の拠点を活用して供給を継続することを目指すとしている。併せて両工場間の人的交流も進めることで、生産技術や加工技能の共有と高度化も図っていくとしている。

なお、新千歳工場では、国内の半導体製造装置メーカーと共同で半導体製造装置の熱効率を高める部材や、消費電力を削減する熱管理機材の開発も進める予定としており、顧客企業の省エネルギー化を支援し、半導体製造工程における脱炭素化へつなげることも目指すとしている。