この半導体ニュースのまとめ

・東邦チタニウムがAIデータセンター向けMLCC用超微粉ニッケルを増産
・茅ヶ崎工場の設備を2027年から段階的に稼働させ、小粒径品の生産能力を2倍へ
・ハイエンドMLCC向け内部電極材料の安定供給体制を強化

JX金属は9月10日、グループ会社の東邦チタニウムが、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の内部電極材料に用いる超微粉ニッケルのうち、小粒径品の生産能力を増強することを発表した。

神奈川県茅ケ崎市にある東邦チタニウムの茅ヶ崎工場に設備を増強し、2027年から段階的に稼働させる。小粒径品の生産能力を従来比2倍へ引き上げ、需要動向に応じて供給能力をさらに拡充する計画である。

AIサーバー向けMLCCの小型・大容量化に対応

生成AIの普及に伴ってAIデータセンターの建設が拡大し、高性能サーバーや周辺機器に搭載される電子部品の需要も増加している。

AIサーバーでは、限られた基板面積に多数の半導体や電子部品を実装する必要があるほか、演算処理に伴って変動する電力を安定して供給することが求められる。このため、電源回路などに使用されるMLCCについても、小型・大容量化と高信頼性化が求められている。

MLCCは、誘電体となるセラミック層とニッケル製の内部電極を交互に積層した電子部品で、製品を小型化しながら静電容量を増やすには、セラミック層と内部電極を薄くして積層数を増やす必要がある。

内部電極の薄層化に伴い、材料となるニッケル粉にも小粒径化と均一化が求められる。粒子径のばらつきが大きい場合、内部電極の厚みにむらが生じ、MLCCの電気特性や信頼性へ影響する可能性があるためだ。

チタン製錬技術を応用して粒径を均一化

東邦チタニウムは、チタンの製錬技術を応用した独自の製造技術により、粒度分布幅を抑えた超微粉ニッケルを生産してきた。

粒子の大きさがそろったニッケル粉を使用することで、MLCCの内部電極を薄く均一に形成しやすくなり、ハイエンドMLCCの小型・大容量化と品質の安定化につながる。

同社は茅ヶ崎工場と福岡県北九州市の若松工場で超微粉ニッケルを生産してきたが、若松工場ではすでに2026年5月にニッケル粉の新工場となる第5工場が竣工しており、今回の茅ヶ崎工場への追加投資によって、小粒径品の量産体制をさらに強化する。

2027年から設備を段階的に稼働

今回の設備増強では、茅ヶ崎工場における小粒径超微粉ニッケルの生産能力を2倍へ引き上げる。

設備は2027年から段階的に稼働させる予定で、AIデータセンター向けを中心とするハイエンドMLCC市場の需要拡大に対応する。その後も市場動向を踏まえて、供給能力を順次拡充するとしている。

JX金属グループは、AIデータセンターや先端半導体向けに、半導体用スパッタリングターゲット、インジウムリン基板、MLCC用超微粉ニッケルなどを展開しており、今回の東邦チタニウムによる超微粉ニッケルの増産を通じ、AIサーバーなどに搭載されるハイエンドMLCC向け内部電極材料の安定供給体制を強化していくとしている。