今回は、SmartArtを構成する各要素を「図形」に分解して、カスタマイズの自由度をさらに高める方法を紹介しよう。ただし、SmartArtを分解する機能はWordに標準装備されていないため、一度PowerPointを経由させる必要がある。少しだけ工数が増えてしまうが、SmartArtを思い通りのレイアウトにカスタマイズする方法として、覚えておくと役に立つだろう。
図形の移動・回転によるSmartArtのカスタマイズ
まずは、図形の移動・回転によりSmartArtのレイアウトをカスタマイズする方法から紹介する。以下の図は、「基本蛇行ステップ」のレイアウトでSmartArtを作成した例だ。
このレイアウトに図形を1つ追加して、文字の入力、書式の指定、スタイルの適用を行うと、以下の図のようなSmartArtを作成できる。
ただし、現時点では内容を理解できないイメージ図になっている。というのも、「基本蛇行ステップ」は手順が一方向に流れていくレイアウトであり、今回の例で紹介するような手順が分岐するイメージ図として設計されていないからだ。
これを意図しているイメージ図に仕上げるには、「矢印」の配置を調整する必要がある。順番に解説していこう。以下の図に示した「矢印」の図形を選択し、「Shift」キーを押しながら左方向へドラッグする。
このように「Shift」キーを押しながら図形をドラッグすると、その図形を水平方向(または垂直方向)へ移動させられる。続いて、以下の図に示した「矢印」の図形を180度回転させる。この操作は前回の記事でも紹介したテクニックだ。
最後に、以下の図に示した「矢印」の図形をドラッグして移動し、90度回転させる。これで大まかなレイアウト調整は完了となる。
これらの調整が済むと、SmartArtのレイアウトは以下の図のようになる。より内容を理解しやすくなるように、色分けしたSmartArtも示しておこう。
このように「矢印」を移動・回転させることにより、SmartArtのレイアウトをカスタマイズすることも可能だ。手軽に実行できるカスタマイズ方法として、覚えておくと役に立つだろう。
「図形に変換」でSmartArtを図形に分解
「矢印」などの図形を移動した際に少しだけ問題になるのが“配置の微調整”だ。SmartArt内の図形も「配置」コマンドで整列できると便利なのだが、実際には操作不可(グレーアウト)になってしまう。このため、大雑把な位置にしか図形を移動できない。
こういった大雑把な配置が気になるときは、SmartArtを図形に分解すると「配置」コマンドを利用できるようになる。その手順を紹介していこう。
まずはSmartArtをクリックして選択し、「Ctrl」+「C」キーでコピーする。SmartArtをコピーできたらPowerPointを起動し、「新しいスライド」→「白紙」を選択する。すると、2枚目のスライドとして「白紙のスライド」が作成される。
ここに先ほどコピーしたSmartArtを「Ctrl」+「V」キーで貼り付ける。続いて、「SmartArtのデザイン」タブにある「変換」→「図形に変換」を選択する。
これでSmartArtを図形に分解できる(各図形はグループ化されている)。あとは、これをWordに戻すだけ。分解された図形グループを選択して「Ctrl」+「C」キーでコピーする。
Wordに戻り、先ほどコピーした図形グループを「Ctrl」+「V」キーで貼り付ける。この時点で、もとのSmartArtは不要になるので「Delete」キーで削除しておこう。
あとは、整列させたい図形を同時選択して、「配置」コマンドで整列方法を指定するだけ。今回の例の場合、「左右中央揃え」と「上下に整列」を指定すると、ちょうど真ん中に「矢印」の図形を配置できる。
念のため、「図形に変換」コマンドについて補足しておこう。
先ほど利用した「図形に変換」コマンドは、PowerPointとExcelにのみ用意されているコマンドとなる。なぜか、Wordには「図形に変換」コマンドが用意されていない。よって、いちどPowerPointを経由することにより「SmartArt」→「図形」の変換を実現している。
図形内のテキストの配置調整
PowerPoint経由で「SmartArt」→「図形」の変換を行ったときは、図形内のテキストの配置にも注意しておく必要がある。今回の例の場合、以下のような不具合が生じている。
- 改行したテキストの行間が広すぎる
- 1行だけのテキストも上寄りに配置されている
これを正しい配置に修正するには、段落の書式を変更しなければならない。図形グループの枠線をクリックして、すべての図形を選択する。この状態で「段落」ダイアログを呼び出す。
「段落」ダイアログが表示されるので、「段落後」の間隔を0(ゼロ)に変更し、「1ページの行数を指定時に文字を行グリッドに合わせる」をOFFにする。これで設定変更は完了。「OK」ボタンをクリックする。
上図のように設定を変更すると、図形内の上下中央にテキストが配置され、行間を狭くすることが可能となる。SmartArtを図形に変換したときの事後処理として、あわせて覚えておく必要があるだろう。
グループ解除と図形の複製・再利用
SmartArtを図形に分解すると、それらの図形は「グループ化された図形」として扱われるようになる。もちろん、グループ化を解除して「個々の図形」として扱うことも可能だ。この場合は、「図形の書式」タブにある「グループ化」→「グループ解除」を選択すればよい。
とはいえ、先ほど紹介した「配置」コマンドなどは、図形をグループ化した状態のままでも使用できるので、グループ解除は必須ではない。むしろ、グループ化したままのほうが、以降の操作を進めやすいケースも多い。グループ化の維持/解除については、各自の好みに応じて選択するとよいだろう。
SmartArtを図形に分解すると、「一部の図形を複製して再利用する」などのカスタマイズも行えるようになる。図形を複製するときは、「Ctrl」キーを押しながら図形をドラッグすればよい。
あとは図形内のテキストを変更して、配置を調整するだけ。これで少しイレギュラーなレイアウトにも対応できるようになる。
今回の記事で紹介したように、SmartArtを図形に変換すると、個々の要素を「通常の図形」として扱えるようになり、カスタマイズの自由度が大きく広がる。その一方でSmartArtならではの編集機能は使えなくなる。こういったメリット&デメリットを考慮すると、可能な限りSmartArtの状態で編集作業を進めてから「図形」に分解するのが基本的な操作手順といえる。
SmartArtを使ってイメージ図を作成したいけれど、説明したい内容に合うレイアウトが見当たらない。こういった場合に、SmartArtを図形に分解して利用するテクニックを学んでおくと、幅広い用途にSmartArtを活用できるようになる。自分で図形をひとつずつ配置していってもよいが、SmartArtを土台にカスタマイズしたほうが短時間で作業を終えられるだろう。少し上級者向けのテクニックとなるが、気になる人はいちど試してみてほしい。





















