格付け大手S&P Globalが、大手ハイテク企業(ハイパースケーラー)の信用力について、AI投資の膨張に伴い徐々に弱まりつつあると警告している。S&P Globalは、企業や政府の債務に対する信用格付けを手がける世界的な格付け機関で、投資家が発行体の返済能力を判断する際の指標として広く利用されている。
AmazonやMicrosoftら6社、2030年までにAI関連へ7兆ドル超を投資
同社が発行したレポートによると、Amazon、Microsoft、Alphabet、Oracle、SpaceX、Metaの主要ハイテク6社は、2030年までにデータセンターおよびAI関連の設備投資に7兆ドル以上を投じる見通しだ。
S&Pのアナリスト、Naveen Sarma氏は、こうした投資自体がハイパースケーラーにとって「存続に関わる」リスクではないとする。Oracleを除く各社は財務基盤が強固で、格付け機関からも高い信用力があると評価されているためだ。
だが、ハイパースケーラー各社は、AnthropicやOpenAIのようなまだ収益基盤の確立していない巨大スタートアップや、ネオクラウド、データセンター事業者といった、本来なら資金調達のハードルが高いはずの企業と、リース契約や融資保証、チップ購入契約などを結んでいる。
信用力を“貸し出す”ハイパースケーラー、不透明な「シャドー融資市場」の実態
このような契約があることで、貸し手は「大手企業がバックについているなら安心だ」と判断し、これらの企業は有利な条件で資金を調達できるようになる。つまり、大手企業が自社の信用格付けを、いわば担保のような形でリスクの高い企業に貸し出しているような状態になっている、と指摘する。この構造を不透明な「シャドー融資市場」と称している。Amazon単独でも今年、社債市場で約1000億ドルを調達しているという。
William Blair Equity Research アナリストであるRichard de Chazal氏の分析として、AI関連企業の収益構造がますます「循環的」になっていることも伝えている。最終需要が期待を下回れば、収益成長の鈍化と投資評価額の下落という「二重の打撃」を受けかねないというものだ。
S&Pのアナリストらも、関連する企業のいずれかが行き詰まればエコシステム全体に影響が波及しかねない、と警告しているという。Axiosが9月11日付で報じている。