この半導体ニュースのまとめ
・国内半導体関連メーカー154社の2025年度売上高は前年度比17.1%増の7兆9115億円
・売上高首位はキオクシア、上位5社で全体の79.1%を占める
・黒字企業は73.3%に増えた一方、コスト上昇などで42.8%が減益
東京商工リサーチは9月4日、国内の主要な半導体関連メーカー154社を対象とした2025年度の業績調査結果を発表した。調査対象としたのは、同社の約440万社ある企業データベースの中で、日本標準産業分類の製造業-電子部品・デバイス・電子回路製造業-電子デバイス製造業-集積回路製造業に当てはまり、2025年4月-2026年3月期を最新期(2025年度)とする5期連続で業績が判明した企業群であるという。
154社の売上高合計は前年度比17.1%増の7兆9115億円、利益合計は同5.4%増の7125億円となり、いずれも過去5年間で最高を記録した。生成AIの普及やデータセンター向け需要の拡大に加え、NAND型フラッシュメモリの供給不足に伴う販売価格の上昇などが業績を押し上げたという。
売上高首位はキオクシア、上位5社で約8割
売上高ランキングの首位はキオクシアで、売上高は前年度比38.5%増となった。AIの普及に伴うデータセンター向け大容量・高速SSDの需要拡大に加え、NAND型フラッシュメモリの販売単価上昇などが業績を押し上げたという。
2位はソニーセミコンダクタソリューションズで、スマートフォン向け積層型CMOSイメージセンサーの大型化・高感度化に加え、車載・産業用カメラ向けセンシング需要の拡大が寄与した。
3位はルネサス エレクトロニクスで、自動車の電子化・高度化を背景とした車載用マイクロコントローラの需要に加え、産業機器やIoT向け半導体の需要を取り込んだ。
売上高上位5社の合計は、154社全体の79.1%を占めた。半導体製造では研究開発や生産設備に多額の投資が必要になるため、規模の大きな企業へ売上高が集中する傾向が鮮明となっている。
JASMの売上高は前年度比約143倍
売上高の伸長率が最も高かったのは、TSMCの日本子会社であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)だった。
2025年度の売上高は724億2000万円で、前年度比の伸長率は1万4240.5%増、約143倍となった。熊本県菊陽町の工場が初めて通年で稼働し、半導体の量産出荷が本格化したことが急成長につながった。
売上高が前年度比100%以上増加した企業は3社で、構成比は1.9%だった。生産拠点の本格稼働などが伸長の主な要因となった。
一方、売上高の増加率が10%以上100%未満だった企業は46社で、全体の29.8%を占めて最多となった。売上高が10%未満減少した企業は37社、構成比24.0%で、半導体需要の拡大による効果は企業や製品分野によって差が生じている。
売上高10億円以上の企業は44.1%
売上規模別では、売上高1億円未満が36社、構成比23.3%で最多となった。次いで1億円以上5億円未満が35社、同22.7%、10億円以上50億円未満が28社、同18.1%となった。
売上高500億円以上は18社で、前年度から1社増加した。売上高10億円以上の企業は68社で、全体の44.1%を占めている。
半導体事業では、製造設備や研究開発に継続的な投資が必要となる。先端プロセスを活用したロジック半導体だけでなく、成熟プロセスやパワー半導体、センサ、半導体メモリなどでも生産効率を高めるには一定の事業規模が必要で、東京商工リサーチは投下資本の効率化に向けた規模拡大が避けて通れないとみている。
黒字企業が増える一方、4割超が減益
2025年度の最終利益が黒字だった企業は113社で、全体の73.3%を占めた。前年度の107社、69.4%から6社増えている。
一方、黒字を維持しながら減益となった企業は66社で、構成比は42.8%に達した。業界全体の売上高と利益は増えているものの、企業別では収益力の二極化が進んだ形となる。
減益の要因には、シリコンウェハや特殊ガスなどの材料費、エネルギー価格の上昇に伴う工場の光熱費、深刻な人手不足を背景とした人件費の増加などがある。汎用品の需要低迷や、コスト上昇分の価格転嫁が進まなかった企業では、売上高の拡大が利益の増加につながらない状況もみられたという。
利益合計は前年度比5.4%増となったが、2024年度の同500.8%増からは成長率が大幅に鈍化した。AIサーバ向けの高付加価値製品や、需給逼迫による価格上昇の恩恵を受ける企業と、コスト増や汎用品需要の低迷に直面する企業の差が広がったといえる。
生成AIやデータセンター向け半導体需要は国内メーカーの業績を押し上げている一方、売上高は上位企業への集中が進み、利益面ではコスト上昇への対応力によって明暗が分かれている。今後もAI向け高付加価値製品の需要を取り込めるか、増加する設備・材料・人件費を販売価格へ反映できるかが、各社の収益を左右することになりそうだ。

