この半導体ニュースのまとめ

・シンガポール政府が半導体産業を統合・推進する国家ブランド「SG Semiconductor」を発表
・2026~2030年に8億シンガポールドルを投じ、先端パッケージングなど7分野を強化
・AMATやKLA、GlobalFoundriesなどとの協業を通じ、研究開発から量産までを支援

シンガポールのタン・シーレン貿易産業相は9月25日、科学技術研究庁(A*STAR)主催の「Innovate Together 2026」において、半導体産業を統合・推進する国家ブランド「SG Semiconductor」を発表した。

A*STARとシンガポール経済開発庁(EDB)が共同策定し、研究開発、先端製造、インフラ、産業界との連携、人材育成を共通ブランドの下で展開する。シンガポールの半導体産業の強みを世界へ示し、企業や人材が同国のエコシステムへ参画しやすくする狙いがある。

  • 国家ブランド「SG Semiconductor」の設立記念イベントの様子

    国家ブランド「SG Semiconductor」の設立記念イベントの様子 (出所:シンガポール経済開発庁)

シンガポールは約60年にわたり、半導体設計、ウェハ製造、組み立て・テスト、製造装置・材料、研究開発を含む産業基盤を構築してきた。現在は世界の半導体生産量の約10%、半導体製造装置生産量の約20%を占めるという。

8億シンガポールドルを投じて7分野を強化

シンガポール政府は、2026年から2030年までの半導体の国家級研究開発プログラム「RIE Flagship in Semiconductors」に8億シンガポールドルを投じる計画である。

SG Semiconductorでは、先端パッケージング、シリコンフォトニクス、パワーエレクトロニクス、高周波GaN、圧電MEMS、フラットオプティクス、集積回路設計の7分野に注力する。

公的研究機関の専門知識と企業の製造設備や量産技術を結び付け、AI・HPC、高速データ通信、電動化、センシング、インテリジェントシステム向け技術を開発から検証、量産までつなげる。

AMATやGFなどとの協業を拡大

先端パッケージング分野では、Applied Materials(AMAT)とA*STARの協業を第4段階へ進め、研究設備や人員を拡充してAI・HPC向け技術を開発する。

KLAとは製造の信頼性と歩留まり向上に向けたプロセス制御の協力枠組みを構築。STATS ChipPACとは、光学技術と先端パッケージングを組み合わせるコパッケージドオプティクスの量産化で協力する。

シリコンフォトニクスでは、A*STARとGlobalFoundries(GF)が、GFシンガポール工場で300mmウェハによる次世代技術を開発する。研究室の技術を商用規模の生産へ移行し、AIデータセンターなどで求められる高速かつ低消費電力な光接続技術の実用化を支援する。

MEMS分野では、Tacta SystemsとA*STARが、研究設備と製造環境を組み合わせた「Lab-in-Fab」を活用し、ロボット向けのインテリジェントセンシング技術を開発する。

また、南洋理工大学(NTU)の国立先端集積フォトニクスセンターと豪Battery Age Mineralsは、ゲルマニウム原料とフォトニクス技術を組み合わせ、データ通信向けデバイスを共同研究する。

SG Semiconductorは個別企業への補助制度ではなく、研究機関、大学、半導体メーカー、装置・材料企業、人材を結び付ける共通の入り口である。海外の企業や研究者にも、シンガポールの研究設備、製造基盤、技術人材、提携先を示し、共同研究や事業投資を呼び込む役割を担う。

シンガポール政府は、研究成果を製品へと移行させ、量産展開できる環境を整えることで、同国を先端半導体技術の研究開発・製造拠点として成長させる考えである。産学官の取り組みを国家ブランドの下に集約し、世界の半導体産業における競争力と認知度を高めていくとしている。