キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は8月25日、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンド「Canon Marketing Japan MIRAI Fund」を通じて、光量子コンピュータの開発に取り組むOptQC(オプトキューシー)に出資したと発表した。これにより、次世代の計算基盤として期待される光量子コンピューティング分野における知見獲得と、新たな事業機会の創出を目指す。
OptQC、独自技術で光量子コンピュータの実用化を目指す
OptQCは、東京大学大学院工学系研究科・古澤研究室の25年以上にわたる研究成果を基盤に、光の特性を活用した光量子コンピュータの開発を進めており、2024年に設立。7月21日には同社と産業技術総合研究所(産総研)が、OptQC製の商用レベルの光量子コンピュータ1号機となる「MoQuren(モクレン)」を産総研の量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)に設置し、稼働を開始したことを共同で発表している。
量子コンピュータは、従来のコンピュータでは膨大な時間を要する複雑な計算を高速に処理できる次世代の情報処理基盤として注目され、研究開発がグローバルで活発に行われている。一方で、実用化には量子ビットの大規模化や演算の安定性確保に加え、方式により極低温などの特殊環境が必要であるため、消費電力の低減などが課題となっている。
OptQCの開発する光量子コンピュータは、少数の光学素子で大規模な量子情報処理を可能にする「時間領域多重」という独自技術を持つ。特に量子ビットの拡張性が高く、また低消費電力かつ高速な演算が可能なことから、実用化に有望な方式として注目を集めているという。
キヤノンMJグループは、未来志向で社会課題を解決するため、最先端の技術やビジネスアイデアの探索とオープンイノベーションを推進し、新たな価値創造に取り組んでいる。今回の出資を通じて、次世代の計算基盤として期待される光量子コンピュータの実用化に向け、OptQCの取り組みを支援していく。
また、光量子コンピューティング分野における知見獲得を通じて、将来的には複雑な最適化計算を必要とする産業分野への応用の可能性を見据え、次世代の社会基盤の発展への貢献を目指す考えだ。