米PsiQuantumと東京大学大学院工学系研究科、三菱ケミカルは4月16日、日本における量子分野の人材育成を強化するため、新たなパートナーシップを締結したと発表した。今回の取り組みは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「ポスト 5G 情報通信システム」プログラム(2025~2027年度)の支援を受けて実施される。
パートナーシップの概要
フォールトトレラント(耐障害性)量子コンピューティング(FTQC)が将来の産業応用における重要技術として台頭する中、高度なスキルを持つ量子人材の需要は世界的に急速に拡大している今回のパートナーシップは日本の量子エコシステムの強化と、実用規模の量子コンピューターの潜在能力を最大限に活かすための人材基盤の重要性を示すものだという。
PsiQuantum、東京大学、三菱ケミカルの3者が、アカデミアの教育、産業界のアプリケーション開発、先端量子コンピューティング技術を組み合わせ、共同で実施。東京大学が教育カリキュラムを主導し、三菱ケミカルは化学・材料科学分野における産業ユースケースの提供、PsiQuantumはFTQCと関連ソフトウェアツールの専門知識を提供する。
PsiQuantumは2016年に設立され、米国カリフォルニア州パロアルトに本社を置く量子コンピューティング企業。同社は、世界初となる実用規模の量子コンピューターを開発・実装することをミッションとし、光量子(フォトニクス)技術を基盤とした独自のアプローチで半導体の量産製造技術や既存の極低温インフラを活用するとともに、柔軟なアーキテクチャ設計を可能にすることで、量子コンピューターシステムの迅速かつ大規模なスケールアップを実現しているという。
取り組みでは、民間企業・学術機関の参加者を対象に6カ月間のトレーニングプログラムがすでに開始されており、日本国内で事業を展開する20社以上から80人超の参加者がプログラムに参加。参加者はFTQCの基礎、さまざまな産業分野での潜在的ユースケースの探索、さらにはPsiQuantumのツール「Construct」などを用いたアルゴリズムの設計・解析・最適化を学ぶ。
今後、2年間の後続フェーズでは、化学・材料科学分野における共同研究開発の機会に重点を置き、フォールトトレラント量子コンピューターでの実装に向けた進展を共通の目標として進めていく。
今回の取り組みは、日本で初めてFTQCに特化した体系的なトレーニングプログラムの1つであり、国内における持続可能な量子イノベーション・エコシステムの長期的な発展への貢献が期待されているとのこと。