リコーとエトリアは10月5日、資源循環を新たな製品価値とモノづくりの競争力につなげるコンセプト「Circular New」に基づく取り組みを開始すると発表した。取り組みの第一弾として、リコーのA3モノクロ複合機にこのコンセプトを適用し、2027年前半から日本および欧州で展開する予定。

  • 「Circular New」のコンセプト概要図

    「Circular New」のコンセプト概要図

環境のために性能を犠牲にしない、性能のために環境目標を諦めない

新コンセプト「Circular New」は、製品の企画および設計から生産、利用、回収、再活用までを一つの循環として捉え、市場で使用された製品を、新たな付加価値を持った製品を生み出すための資産として活用するモデルだ。

製品を市場に送り出した時点で終わりとするのではなく、その製品が将来、次の製品を生み出す資産になることを前提に設計するという。

具体的には、世代や機種を越えたフレームおよび部品の共通化、長寿命化、分解・部品交換の容易化などを進める。これにより、市場で活用された製品に含まれる資源や部品を、新たな製品の生産に活用する。

  • 「Circular New」で目指す姿

    「Circular New」で目指す姿

従来の再製造機(リマニュファクチャリング製品)や再整備機(リファービッシュ機)のように、使用済み製品を元の状態に近づけて再び市場に提供するのではなく、回収した製品を資源や部品として活用し、製品ラインアップとして新たに生産へとつなげるとのことだ。

リコー コーポレート専務執行役員 リコーデジタルプロダクツビジネスユニット プレジデントの中田克典氏は「環境のために性能を犠牲にしない、性能のために環境目標を諦めない、をテーマとして、性能と品質と安定供給を追求する」とコメントしていた。

  • リコー コーポレート専務執行役員 リコーデジタルプロダクツビジネスユニット プレジデント 中田克典氏(写真左)

    リコー コーポレート専務執行役員 リコーデジタルプロダクツビジネスユニット プレジデント 中田克典氏(写真左)

第一弾はA3モノクロ複合機に新コンセプトを適用

リコーとエトリアは「Circular New」を採用した第一弾モデルとして、リコーのA3モノクロ複合機「RICOH IM6010 / 4510 / 3510 / 2510」について、既存の集約生産による製品に加えて、消費地生産による製品を2027年前半より日本および欧州で生産・出荷を開始する。

  • A3モノクロ複合機に「Circular New」コンセプトを適用する

    A3モノクロ複合機に「Circular New」コンセプトを適用する

ユーザーはこれまでと同様に、グローバルで共通の品質・機能・保証を備えた製品として利用可能。同シリーズの新規資源使用率は、集約生産の場合は約76%であるのに対し、消費地生産では最小で約21%まで低減されるとのことだ。

  • 「Circular New」により新規資源利用率を約21%まで低減させるという

    「Circular New」により新規資源利用率を約21%まで低減させるという

従来のタイや中国での集約生産に加え、日本およびフランスなど市場に近い消費地生産拠点を設けることで、地域内で資源や部品を循環活用。これにより、資源循環をさらに拡大する。

新規資源使用量の抑制や長距離輸送の削減などによる環境負荷低減に加え、資源調達リスクや地政学リスクなどの影響を受けにくい生産体制を構築し、安定した製品供給を狙う。

リコーグループのESG施策が武器に

なぜ、両社はここに来て新コンセプト「Circular New」を打ち出すのか。その背景には、気候変動や資源制約の高まり、デジタル化に伴う顧客ニーズの変化、地政学リスクやサプライチェーンリスクの高まりなどがある。

  • 再生ビジネスの周囲の環境変化

    再生ビジネスの周囲の環境変化

こうした課題に対して、リコーグループはこれまでに構築してきたグローバル規模での回収・再生ネットワークを武器として、環境型ビジネスを強化する。

実際、リコーは回収した製品や資源を活用して、LC変換(リニア型社会からサーキュラー型社会への変換)を促してきた。

例えば複合機本体の再生ビジネスでは、国内および欧州で再製造機「CEシリーズ」、海外で再整備機「Greenlineシリーズ」をそれぞれ展開。全世界での販売台数は約5万台、売上は320億円規模だ。

  • リコーの再生ビジネス

    リコーの再生ビジネス

一方のエトリアは将来の循環利用を見据え、世代や機種を越えた筐体骨格(フレーム)と部品の共通化、部品の長寿命化、分解・交換しやすい構造などを製品の企画・設計段階から取り入れてきた。

これらの設計基盤に加え、製品・部品の状態に関するデジタル情報の活用や選別・品質保証技術を組み合わせることで、再生材の活用に加えて、製品に組み込まれた資源や部品まで活用範囲を拡大し、次世代の製品への適用を可能とした。