
「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」─。2009年、このビジョンを掲げて創業した当社は「印刷」を起点に集客支援、調達支援を通じて、主に中小企業の事業成長を支えてきました。特に主力事業の印刷のeコマースは、インターネット上で法人や個人のお客様から印刷物の注文を受けて、当社では印刷工場を持たずに提携する印刷会社で生産し、提供するというプラットフォームサービスです。この印刷事業の「ラクスル」で成長してきました。
しかしその間、事業環境は激変。人口減少・人手不足、インフレ・円安、そしてAIの普及……。日本企業の99.7%、そして当社の顧客の89%が中小企業で、それらの企業は大きな構造的変化や経営上の岐路に立たされています。労働生産性が大企業の半分以下で人手も不足し、デジタル化にも未対応な中小企業をいかに支援するかは社会の変革につながる死活問題とも言えるでしょう。
そんな中で当社は2025年にMBO(経営陣が参加する買収)を発表し、26年5月に非上場化しました。なぜMBOを選んだのか。それは日本の中小企業を本気で変えるためには、四半期では動けないからです。
5~10年かかる構造改革を四半期の物差しで測ることは難しいですし、これまでの当社の印刷会社というイメージを変えるためには、ビジネスの根幹を変えなければなりません。また、上場企業特有の制約から解放され、より大きな挑戦に踏み出すための攻めの選択です。
その決意を非上場化後、初となる中長期の事業戦略として発表しました。骨子は、購買・調達のeコマースに加えて、金融と業務支援の3領域を一体で提供する「中小企業の課題解決プラットフォーム」を構築するというもの。中小企業の経営課題を解決するプラットフォームになるには、サービス間の連携や新規事業に継続投資する必要があります。それには短期的な業績変動に左右されない意思決定を下さなければならないのです。
売上拡大では、印刷・広告に加え、ホームページ制作や営業支援、AIを活用したサービスを通じて新規顧客の獲得を後押ししていきます。また、コスト最適化では、法人向けの購買・調達のeコマースを通じて調達コストの圧縮と業務効率化を支えていきます。そして資金支援では金融領域を新たな柱として強化し、銀行サービスに加え、成長投資を支える金融サービスを拡充していく方針です。これらは当社のこれまで培った経営資源を活かすことができる領域になります。
事業を通じて約50万社のお客様と向き合う中で、購買データなどから中小企業が抱える課題が見えてきたのです。当社は創業以来、自分たちで社会課題を解決する仕組みをゼロからつくってきました。社会変革には中小企業の成長は欠かせません。だからこそ、中小企業を成長させるためのワンストップの仕組みを提供する必要があるのです。
新たに始めた金融領域では、100%子会社のラクスルバンクが「融資」「法人カード」「請求書発行」の3サービスを順次提供する方針です。25年にGMOあおぞらネット銀行と提携して始めた法人口座サービスに続く機能拡張になります。資金調達から決済、請求管理を一体で支援し、資金繰りの改善とバックオフィス業務の効率化を支援していく予定です。
当社は中小企業向け支援の拡大を軸に、経営全般の課題解決を主力とする新方針を掲げて「ラクスル経済圏」を拡大し、社会変革に貢献していきます。