この宇宙・航空ニュースのまとめ

  • ispaceとスカパーJSAT、日本の月探査を支える民間通信インフラの実証に向けた覚書を締結
  • 月探査ミッションにおける国内地上局の需要や有効性を検証、日本発の月探査を支える通信基盤の構築へ
  • spaceが2028年打ち上げ予定のミッション3で、月着陸船「ULTRA」と、JSAT Space Lineの地上局との通信確立などをめざす

ispaceとスカパーJSATは、日本の月探査を支える民間通信インフラの実証に向けた覚書を締結したと7月16日に発表。両社はこの実証を通じて、月探査ミッションにおける国内地上局の需要や有効性を検証するとともに、日本発の月探査を支える通信基盤の構築に取り組み、将来の深宇宙通信インフラの発展に寄与するとしている。

  • ispaceミッション3で使用予定の新ランダー(着陸船)「ULTRA」のイメージ

    ispaceミッション3で使用予定の新ランダー(着陸船)「ULTRA」のイメージ

今回両社が締結したのは、スカパーJSATが提供する民間向け近地球追跡ネットワークサービス「JSAT Space Line」を活用した技術検討のための覚書。この覚書に基づき、ispaceが2028年に打ち上げ予定の月面着陸ミッション(ミッション3)では、ispaceが開発する月着陸船「ULTRA」と、JSAT Space Lineの地上局との通信確立に向けた、技術情報の相互交換や仕様検討、宇宙と地上局間の実証実施までをめざす。

ispaceが月面探査ミッションの重要な技術課題のひとつと位置付けるのが、安定的かつ柔軟な通信運用体制の構築。将来的に高まると予想される、高頻度な月面探査ミッションに向け、地上局と通信運用体制の選択肢の拡充をめざしている。

今回の技術検討でispaceは、JSAT Space Lineの地上局設備を活用し、月探査ミッションに必要な通信運用の成立性を確認。また、欧州宇宙機関(ESA)が運用するESOC地上局ネットワークのバックアップとしての活用可能性についても検証を進める。特にX帯ダウンリンクなどの通信系統で冗長性を確保することで、将来の月探査ミッションの信頼性向上に寄与したい考えだという。

JSAT Space Lineの地上局設備は月探査ミッションへの対応実績があり、米国航空宇宙局(NASA)が進める有人月周回ミッション「アルテミスII」における信号測定でも活用されたとのこと。スカパーJSATは、地球近傍だけでなくシスルナ空間に至る領域からの信号受信に対応した経験を有する民間企業として、ispaceのミッション3運用支援に取り組む。

  • JSAT Space Lineのイメージ。左は、茨城に設置した地上局設備。右は、実際のサービス運用の様子(画像提供:スカパーJSAT)

    JSAT Space Lineのイメージ。左は、茨城に設置した地上局設備。右は、実際のサービス運用の様子(画像提供:スカパーJSAT)

ispace CEO & Founder 袴田武史氏のコメント

月探査ミッションにおいて通信インフラはもっとも重要な要素の一つです。今後のミッションを見据え、複数の地上局サービスとの接続性を確保し、柔軟かつ冗長性の高い運用体制を構築することは極めて重要であると考えています。

今回、ミッション3に向けたスカパーJSATとの協力には「JSAT Space Line」の技術的有効性を確認するだけでなく、日本国内の民間地上局を月探査ミッションへ活用する可能性を広げていく意義があります。日本の宇宙産業基盤の強化にもつながる取り組みとして、協業を進めてまいります。

スカパーJSAT 常務 宇宙事業部門長 山下照夫氏のコメント

月探査をはじめとする宇宙活動の活発化に伴い、信頼性の高い通信インフラへのニーズは、今後ますます高まると考えています。今回の取り組みは、「JSAT Space Line」の月探査ミッションへの適用可能性を検証する重要な機会であり、月探査ミッションを推進するispaceと連携することで、民間通信インフラが果たせる役割をさらに広げる一歩になると期待しています。

スカパーJSATは、アルテミスⅡをはじめこれまで培った知見や地上局運用の経験を活かし、ispaceのミッション3を支援するとともに、日本の深宇宙通信基盤の発展に貢献してまいります。