ソニーグループと東京大学は、「ソニーグループ人材育成基金」を同大学基金内に設置したと7月1日に発表。組織や分野の境界を越えて学び、挑戦できる次世代人材の育成を目的とする基金で、これを通じて大きくふたつの取り組みを進めるとしている。
両者は「近年、社会課題の複雑化・高度化が進む中で、特定の技術や既存の専門領域の延長線上だけでは解決が困難な局面が増えている」と指摘。このような時代においては「自ら問いを立て、テクノロジー、市場ニーズ、さらにはリベラルアーツを横断的に融合させながら、未来を構想・デザインできるクリエイティブな人材」が求められると説く。
そうした人材の育成に向け、「大学における自由で多様な知と、産業界における実践的な知を往還しながら、試行錯誤を重ねられる環境の中で学ぶ機会を提供することが重要」とし、今回の基金設立に至ったかたちだ。
ソニーグループ人材育成基金は、寄付金の元本を維持しながらその運用益を充てる「エンダウメント型基金」という仕組みを採用。これにより、東京大学における人材育成の取り組みを中長期にわたり安定的かつ継続的に支えることを目的としている。
具体的には、この基金を通じて以下の取り組みを実施していく。
越境イノベーション研究センターにおける越境型人材育成プログラムIGNITEの企画・運営
東京大学は2026年10月1日、「越境イノベーション研究センター」を大学院工学系研究科に設立する。
同大学の大学院工学系研究科が、大学院人文社会系研究科と連携し、テクノロジー、ビジネス、アートといった異なる領域を越境してイノベーションを起こす人材の育成と、産学協創による知の循環を起点としたエコシステムの研究を目的とした組織。2019年からソニーグループと東京大学が実施してきた社会連携講座での経験も踏まえ、同センターでは新たに組織的な研究・教育拠点として活動を始める。
同センターは通常のカリキュラムの枠を越えた実践の場として、東大発イノベーター着火プログラム「IGNITE」を立ち上げ、学生向けに各種のトレーニングやイベントを実施するとともに、学生の発案や多様な企業との協創を起点としたプロジェクトを行う。7月1日付で、大学の垣根を越えてプログラムに参加する全国の大学生の募集、および新しい教育モデルを共に創る若手教育スタッフの募集を開始した。
IGNITEには、東京大学の文理を越えた全学年・全学科からの選抜生と本郷近隣のアート・デザイン系の大学生、さらには全国から選抜された学生が参画。プログラムの制度設計や支援手法などの研究も行い、教育と研究の両輪で運営していくとしている。
企業連携の一環として、ソニーグループは日本のエンタメカルチャーの海外展開に関するテーマなどを通じて学生との協創活動を行っていく予定だ。
UTokyo College of Designにおける産学連携型教育プログラムへの支援
東京大学は2027年度、学士・修士5年一貫の教育プログラム「UTokyo College of Design」の開始を予定している(文部科学省への設置申請中)。同プログラムでは、社会や将来を構想するデザインと、多様な学術知を組み合わせることで、社会課題の解決と新たな価値創造を担う人材の育成を目的としている。
UTokyo College of Designは、課題解決に向けた様々な実践の場を設け、そこで多様な専門性を持つ教員が社会の第一線で活躍する専門家や実務家と積極的に協働して、学生の教育に取り組む。
ソニーグループはこのプログラムに賛同し、学生が実社会の課題に向き合うプロジェクト型学修への共同参画や、インターンシップにおける学生の受入れを通じて、UTokyo College of Designの人材育成を支援していく。
ソニーグループ 十時裕樹社長 CEOのコメント
ソニーグループは、多様な人材や事業を有機的に結びつけることで、新たな価値を生み出してきました。変化の激しい時代において重要なのは、未知の領域に越境し挑戦し続ける「人」であり、そのような人材こそがイノベーションの源泉であると考えています。
越境イノベーション研究センターとUTokyo College of Designはいずれも、産業界と学術界がお互いの境界を越えて協創し、大学生と企業人が双方向に学び合う新たなモデルを推進するものです。
今回設立したソニーグループ人材育成基金を通じて、東京大学におけるこうした取り組みが長期的かつ継続的に発展し、次世代を担う多様な才能が育まれることを期待しています。そして、その才能が社会や産業のさまざまな領域をつなぎながら、新たな価値を創出し、未来を切り拓いていくことを願っています。
東京大学 藤井輝夫総長のコメント
ソニーグループ人材育成基金の設置により、越境イノベーション研究センターおよびUTokyo College of Designにおける取り組みが、より持続的かつ実践的に展開されることを大変意義深く受け止めています。複雑化する社会課題に向き合う上で重要なのは、専門や立場の違いを越えて多様な知を融合し、新たな価値を共に創り出す力です。本基金を通じて、産業界と学術界が双方向に学び合う環境が一層強化され、長期的な視点で人材育成の基盤が発展していくことを期待しています。
越境イノベーション研究センターおよびUTokyo College of Designでは、学生募集やプログラム開始に向けた準備を進めています。ソニーグループと東京大学は、本基金を通じて、将来社会を担う人材の育成と、新たな価値創出に向けた取り組みを中長期的に推進していきます。


