この半導体ニュースのまとめ
・Rapidusが英UKSCと基本合意締結
・日英技術協力の枠組みで推進
・2nmプロセスの量産を見据えた情報共有を開始
日本で2nmプロセスの量産を目指すファウンドリであるRapidus(ラピダス)は6月15日、英国で半導体産業を推進する国家機関である「UK Semiconductor Centre(UKSC)」と、将来の半導体製造に向けた基本合意(MOU)を締結したと発表した。日本政府と英国政府が進める技術協力の枠組みの一環として位置付けられるもので、今後は将来の連携強化を念頭に、両者で情報共有や意見交換を進める。
日英技術協力の流れを受けてMOUを締結
UKSCは2025年に英国政府が設立した機関で、英国の半導体エコシステム構築や成長戦略の支援、国際連携、将来のAIや先進ハードウェア開発に向けた技術パートナーシップの推進を担っている。今回の合意に先立ち、2026年1月には日英両首脳が技術分野での協力強化に合意していた。
さらに6月14日の首脳会談でも、日英技術協力を推進していく方針が確認され、その一環としてRapidusとUKSCのMOU締結に至った。政府間の協力の流れを、民間の半導体プロジェクト連携へ具体化する動きといえる。
英国半導体エコシステムの中核機関「UKSC」
UKSCは、英国半導体産業の窓口として、重要技術を巡るエコシステムを統合し、商用化を加速させることで英国の競争力維持を支援する役割を担う。半導体は医療、通信、交通、エネルギーシステム、国家安全保障など、現代社会の広範な領域を支える基盤技術であり、需要拡大とサプライチェーンの強靭化が重要課題となっている。
同機関は、英国が強みを持つ化合物半導体、シリコンフォトニクス、先進的なチップ設計などを基盤に、研究と産業界の能力を結び付けることで、重点領域への支援やインフラ活用を進めるとしている。世界各国のパートナーや投資を呼び込み、イノベーションの商業化を後押しする狙いもある。
Rapidusは2nmプロセスの量産に向けて将来的な連携を模索
Rapidusは、2nmプロセスを用いた最先端ロジック半導体を国内で2027年から量産することを目指し、現在パイロット製造を進めている。今回のMOU締結により、英国側の半導体政策・産業基盤との接点を持ちつつ、将来の半導体製造に向けた連携可能性を探ることになる。
先端ロジック半導体の製造においては、製造技術そのものが量産に耐えられるものであることは言うまでもないが、それを実現するための半導体材料、半導体製造装置、半導体設計、先端パッケージング、それらを組み合わせて実際の半導体チップとする研究開発体制まで含めた国際的なエコシステム形成が競争力を左右する。Rapidusとしても、量産体制の構築を進めつつ、国内外の顧客の開拓に加えて、今回のような海外の戦略機関との関係強化を図っていくことで技術・事業面での選択肢を広げる狙いがあるとみられる。
日英連携の具体化として今後の協力範囲が焦点に
現時点では、今回の基本合意に基づく形で情報共有や意見交換を進める段階にあるが、日英の技術協力が政策レベルから実務レベルへ広がる中で、今後どの領域まで協力が具体化するかが注目される。それぞれの異なる強みを持ち寄って、補完関係をどう築くかが焦点となりそうだ。