
さらに早まる上昇ピッチ
日経平均株価の上昇ピッチが早まってきています。足元の日本の株式市場の動きを見ると、以前から指摘している「日本再評価相場」、前人未到の大相場がやってきていますが、これには転換点があります。
今回は2026年4月27日に日経平均が初めて6万円台で引けたところから新しい上昇波動が始まっています。今後は6万円が安値という相場見通しに入ってきているのではないかと思います。6万円を下回ったところは絶好の押し目買いチャンスということになります。
4月27日に6万円台で引けた後、大陽線が入って、上昇暗示(サイン)の「寄り切り線」(ローソク足のパターンの1つで、寄り付き=始まり値が安値でほぼ高値引けに短いヒゲのある大陽線)が出ています。
そうして5月11日に6万3385円という高値を付けましたが、5月中旬現在、その史上最高値圏で取引が続いています。
つまり、「押し目待ちに押し目なし」という典型的な相場になっています。これは株価の上昇ピッチが早まっている証拠です。私が以前から言っている「下がったら買い」の展開です。
今は6万円から6万5000円という新しいボックスに入っていますが、市場の予想を上回り、かなり早く6万5000円の壁を突破しそうな動きです。
なぜ、ピッチが早まっているのか。それを示しているのが2026年5月13日付の日本経済新聞に出ていた「日本株買い 安倍相場超え」という記事です。
「海外投資家の4月買越額、最大の5・6兆円 米欧株からシフト」とありますが、これが上昇ピッチが早まっている理由です。米国株式市場や欧州株式市場に向かっていた世界のマネーが日本にシフトしています。
欧州は戦場になっているから、米国はトランプ大統領の政策への不安が理由です。日経新聞の記事にあるように「世界の投資家がドル資産への偏重を見直す動き」が出てきています。
「脱ドル」の資金をどこに振り向けるかという時には、選択肢は日本しかありません。米国から見ても、経済安全保障の観点で日本が一番の選択肢になります。そして今後、新しい冷戦構造の中で、その動きはますます強まると見ています。
世界中に出てきている余剰マネーと富裕層が日本に殺到するという動きです。なぜなら日本に資産を持ったり投資をするのが安全だからです。住んでも素晴らしい環境です。高市早苗首相が打ち出した「ジャパン・イズ・バック」が「バイジャパン」に火をつけた形です。
これまで、海外投資家の買越額が月間で最大だったのは、25年10月の3兆4000億円でしたが、26年4月は5兆6964億円と過去最大になりました。
国内では、国民の中のどの世代にもデフレが終わったという認識が広がっており、世界最大の個人金融資産が動き始めています。ただ、これは序盤戦で大半はまだ預貯金です。
個人でも、元々60代以上の高齢者の資金は株式市場に入ってきていますが、新しい傾向として20代、30代の人たちが活発に投資し始めています。生活コストが上がり、資産形成に注目してきているからです。彼らが日本株を再評価しています。
象徴的なのは日経平均のコールオプション(買付の権利)では日経平均7万円、さらには7万5000円を買うものに資金が集まってきています。7万5000円を付けると思っている人たちが多いのです。6万円相場が始まったと言っていますが、すでに7万円相場が目の前にやってきています。
私は元々、自著でも日経平均はいずれ8万円を目指し、28年には付けるだろうと書いてきましたが、これが前倒しになりそうな動きです。ちなみに、24年7月10日発売の著書の題名は『日経平均は8万円を目指す』(実務教育出版)で、4万円は単なる通過点と書いています。
では、日本の株式市場にリスクはないのか。
1つは、米トランプ大統領がイラン攻撃で行き詰まりを見せています。一番の狙いは、イランに核設備を放棄させることでしたが、この問題ではイランは強硬な態度を崩していません。
トランプ大統領には今後、2つの選択肢があると思います。1つ目はホルムズ海峡を米国が封鎖して、イランが石油の輸出をできなくさせて、経済力を徐々に弱めていくというものです。その間、様々な条件交渉をしていくことになるでしょう。
2つ目は再びの攻撃再開です。この場合は、イランの準備ができていますから、それまでの攻撃の2倍、3倍の力でやらなければならず、米国側の犠牲も避けられないと思います。
どちらを選択するかですが、後者の場合は日本も含め世界同時株安のリスクがあります。米軍の軍事行動が伝わった段階で、個人投資家はキャッシュアップ(現金比率を高める)して手持ちを軽くする必要があります。
インフレのリスクが言われますが、足元では問題ないと思います。なぜなら、日本は30年にわたるデフレで長期低迷してきたわけですから、当面インフレの方が望ましいからです。
30年間、日本経済は「水風呂」に浸かって体調が悪くなっていましたが、「アベノミクス」で少し温度が上がり、高市首相の政策で「適温」に向かっています。
1~2%程度のインフレが定着することで、日本経済の体調がよくなるわけです。日本経済の適温を買う相場が始まっていると言ってもいいくらいです。
日銀は4月の利上げを見送りました。審議委員の中にインフレを懸念して利上げを急ぐべきという意見があったそうですが、彼らは「曲学阿世」の輩です。急速な利上げは今の好調な経済、株価に水を差します。高市首相は、そのことはわかっておられると思いますが、植田和男総裁がわかっているかどうか。
ただ、次の1%への利上げは日本経済や株価に、それほど大きな影響を与えないでしょう。さらなる利上げは半年から1年の時間を置く必要があります。
利上げを急がず、金融緩和を継続するという前提で、今後も高市トレード相場が続き、年末までに7万円を付ける展開が予想されます。