NTTの「AIOWN」とは何か?AI時代のインフラはどう変わるのか
NTT、NTTデータグループ、NTTドコモビジネスは4月27日、AI利活用の急速な拡大を背景に、顧客のニーズに合わせて最適な利用環境を届けるAIネイティブなインフラとして「AIOWN(エーアイオン)」を展開することを発表し、記者説明会を開いた。
AIOWNは、GPUだけでなくネットワークや電力、データセンターの配置までを含めて統合的に最適化するAIネイティブインフラだ。クラウドからエッジまで分散した計算資源を一体で運用し、用途に応じて最適なリソースを提供することを目指す。
なぜAIインフラは「分散」と「推論対応」が求められるのか
AIの高度化などを背景に、AI活用は汎用的な業務効率化から、企業のコア業務や専門的な業務へと移行している。さらには、車やロボットなどさまざまなモノと連携するフィジカルAIの利活用も進んでいる。
こうした環境の変化に伴い、AIワークロードは学習中心から推論中心へと急速に移行しつつある。McKinsey(マッキンゼー)の調査によると、AI推論のワークロードは2025年から2030年にかけて年平均4倍以上の成長が見込まれるという。
2030年の単年で見ると、AIワークロード全体の約4割を推論が占める試算もあるとのことだ。
AIの利活用を中核とするインフラストラクチャ、いわゆる「AIネイティブインフラ」には、GPU高密度ラックによる発熱への対応に加え、分散配置されたデータセンターやサーバ間をつなぐ低遅延ネットワーク、機微なデータを安全に扱うためのセキュリティやデータ主権への配慮、さらにはエッジまで含めた柔軟なインフラ設計など、高度な要件が求められる。
AIOWNを支える要素技術とは?NTTの強みを整理
NTTは、高密度GPUによる発熱への対応や、分散配置されたデータセンター間の低遅延接続、データ主権の確保、エッジまで含めた柔軟なリソース活用など、AIネイティブインフラに求められる複数の要件に対応するため、複合的な技術開発を進めている。
これらの技術は個別に存在するものではなく、ネットワーク、コンピューティング、電力、運用を統合的に最適化することで、AI用途に応じた最適な実行環境を実現する点に特徴がある。
AIOWNの実現に向けた主な要素技術と取り組みは以下の通り。
グローバルトップクラスの液冷技術
GPUなどの高性能化によりラック当たりの必要電力が急増し、従来の空冷方式ではなくサーバ内に冷却水を循環させる液冷方式への対応が求められている。
NTTのデータセンターではGPUを搭載したサーバを1ラックに複数台搭載可能で、ラック単位で液冷方式を利用可能。1ラック当たり最大135キロワットの電力消費に対応可能だ。また、液冷方式により、空冷方式と比べて冷却用の消費電力を30%~60%削減している。NTTはこうした液冷方式対応の設備をグローバルで250メガワット提供する。
低遅延かつ低消費電力を実現する光電融合ネットワーク
主要データセンター間をつなぐ光電融合インターコネクト / ネットワークにおいては、独自技術であるPEC(Photonics-Electronics Convergence:光電融合デバイス)を活用し、低遅延かつ大容量で低消費電力な通信を実現する。
IOWN APN(All-Photonics Network)に関して、2027年度までに47都道府県の県庁所在地を網羅する800ギガビット / 秒のネットワークを構築するという。まずは第一世代のPEC-1デバイスを使用するが、将来的にはボード間を光でつなぐPEC-2も実用化し、コンピューティングまで計算処理の低消費電力化を目指す。
ソブリン性を担保するAI基盤
AIを競争力の源泉として活用するためには、企業が保有する機微なデータやノウハウを使いつつ、専門的な業務やコア業務でAIを活用していく必要がある。そのためにはデータのみならず、プラットフォームやアプリケーション、LLM、ネットワークなどの主権を国内で保有することが重要となる。
NTTはソブリン性を担保するため、同社が保有するネットワークやデータセンター、さらにはtsuzumi2の開発などで培ったデータマネジメントのノウハウなどを、トータルで提供するとのことだ。
エッジを含めた分散基盤の最適化
多様な企業拠点やエッジでのAI活用を支援するため、NTTグループは47都道府県で160拠点以上のデータセンターを提供する。地理的な網羅性に加え、安定した電力供給を確保し、低遅延かつ安全にAIを利用できる環境を整備する。
同社はユーザーのニーズに対応し、従来型の空調のデータセンターから、高発熱に対応するデータセンター、さらなる発熱に対応可能な液冷データセンターなど、多様なサービスを展開。
さらに近年では、設置場所や規模を自由に設計できるコンテナ型のデータセンターも手掛けている。
これらのデータセンターはいずれも、47都道府県に配置したサービス拠点から、保守運用の担当者が常駐または駆けつけ可能な体制を整えているとのことだ。
セキュリティ一体型のAI向けNaaS(Network as a Service)
NTTグループのNaaS(Network as a Service)は、拠点に接続機器を設置することなく、分単位でネットワークリソースを利用できるサービス。セキュリティ一体型のネットワークをいつでも、どこからでも使える特長がある。
47都道府県×分散配置、エッジまで広がるインフラ
多様な企業拠点やエッジでのAI活用を支援するため、NTTグループは47都道府県で160拠点以上のデータセンターを提供する。地理的な網羅性に加え、安定した電力供給を確保し、低遅延かつ安全にAIを利用できる環境を整備する。
同社はユーザーのニーズに対応し、従来型の空調のデータセンターから、高発熱に対応するデータセンター、さらなる発熱に対応可能な液冷データセンターなど、多様なサービスを展開する。
さらに近年では、設置場所や規模を自由に設計できるコンテナ型のデータセンターも手掛けている。
これらのデータセンターはいずれも、47都道府県に配置したサービス拠点から、保守運用の担当者が常駐または駆けつけ可能な体制を整えているとのことだ。
データセンターは3倍・1GWへ、NTTのAIインフラ戦略
NTTグループでは今後、さらに拡大が見込まれるAI利用に対応するため、国内のデータセンターを2024年度の300メガワットから2033年度には約3倍となる1ギガワットまで拡大する。
多くの企業が集まり低遅延が求められる「都市型」、AI学習のための豊富な計算資源を保有する「郊外型」、低価格かつ再生可能エネルギーの使用が活発な「遠隔地型」に分け、戦略的に展開するとのことだ。
さらに2026年度には、複数拠点のGPUリソースをあたかも同一のGPUかのように利用できるリソースマネジメント機能も提供開始予定だ。
データセンター拡充の一例として、AI用途に最適化された液冷標準の都市型AIデータセンターを2029年に品川区内に設立する。最寄駅から徒歩5分の好立地で、各種クラウド事業者の接続ポイントやIX(インターネットエクスチェンジ)など主要な外部サービスとの接続拠点に近接する。
遠隔地型では、地方のGPU需要に対応する液冷対応互換フロアを持つデータセンターを福岡市内に設立する。海底ケーブル陸揚げ局との接続によるゲートウェイ拠点として、アジアとの接続としても機能する。
福岡県は再生可能エネルギーの利活用が盛んなため電気代が安く、データセンターの分散化の観点からも注目されているという。
郊外型では、栃木県に大規模なデータセンターを2029年に設立予定。約100メガワットの大規模電力基盤により将来のAI需要に対応すると同時に、首都圏から距離をおくことで地理的分散化も図っている。
2030年以降には、千葉県印西の白井エリアに国内最大級のデータセンターキャンパスを竣工予定だ。これにより、近隣に開発中のデータセンターと合わせて、約250メガワットを提供可能になる。液冷にも対応。
NTTはAI用途に応じた最適化インフラを提供へ
NTT社長の島田明氏は「NTTは車やロボットなどエッジまで広がる広範なコンピューティングのリソースを統合的にオペレーションし、AI用途に応じて必要なGPUやネットワーク、電力などのリソースを最適化するセキュアなAIネイティブインフラ『AIOWN』を展開していく」と話していた。













