AI需要が後工程分野の成長をけん引
マーケティング&コンサルテーションを手掛ける富士キメラ総研は、半導体後工程関連材料やプリント配線板、実装関連装置などを含む実装関連部品・材料・装置の世界市場を調査・分析した調査レポート「2026 エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」を発刊したことを発表した。
それによると、半導体実装関連部品・材料・装置の世界市場は、2025年の約14兆7993億円(見込み)から、2031年には24兆2627億円へと拡大することが見込まれるという。AI関連投資や自動運転対応の進展を背景に、半導体市場全体の好調が実装分野にも波及している。
AIインフラが押し上げる実装市場
市場拡大の最大の要因となっているのが、AIサーバーを中心としたITインフラ機器向け半導体の需要増だ。処理能力の向上と高速化が求められる中、プリント配線板の高多層化や大型化が進展し、製品単価も上昇傾向にある。
特に好調なのが、FC-BGA基板や先端パッケージといったハイエンド領域であり、AIサーバーや高性能通信機器向けを中心とした採用拡大により、実装関連分野全体の成長を牽引している。
半導体後工程関連材料は、2025年下期以降に民生機器や車載向けパワー半導体市場が回復することで、リードフレームの需要が堅調に推移すると見込まれている。また、メモリー向けで単価の高いAuワイヤが好調なことから、2025年のボンディングワイヤ市場は前年比25%以上の成長が予想されるとする。
さらに2026年以降は、先端パッケージの需要増加やパッケージサイズの大型化を受け、再配線材料や一次実装用アンダーフィルといった材料群の市場拡大も期待されている。
プリント配線板は高多層・高付加価値へ
プリント配線板市場を見ると、AIサーバー向けの高多層基板や、低軌道衛星通信、車載、AIモジュール用途向けのHDI(高密度インターコネクタ)など、単価の高い製品が成長の中心となっている。
例えば18層以上の高多層リジッドプリント配線板市場は、2025年の6107億円から2031年には3兆7488億円規模に拡大する見通しだ。特にAIサーバーの需要の増加がけん引役で、高速対応用の低誘電CCL(銅張積層板)のグレードアップや、材料高騰による単価上昇も市場の伸びに影響するという。また、汎用サーバーについても、従来の14~16層から18層以上への移行が進み、それに伴い価格上昇と市場規模の拡大が期待されるとする。
FC-BGA基板は2030年に2兆円超台へ
CPUやGPU、AIアクセラレータなど多ピン・高性能ロジック向けに使われるFC-BGA基板も、実装市場の中核を成す存在だ。その2025年の市場規模は約1兆689億円、2031年には約2兆3536億円へと拡大すると予測されている。
2026年は低CTEガラスクロスの需給逼迫により、サーバー向けCPUやAIアクセラレータの生産調整リスクがあるものの、材料不足に伴う単価上昇が市場規模の拡大を下支えするものと見られるとする。今後もサーバーCPUやAIアクセラレータが有望用途とされるほか、自動車分野におけるADASの拡大も追い風となりそうだという。
高機能ガラスクロスなどの関連材料分野も高成長
プリント配線板関連材料としては、高速対応ガラス基板銅張積層板に採用されている低誘電ガラスクロスならびに半導体パッケージ基板向けの低CTE対応ガラスクロスを注目市場として挙げている。これら高機能ガラスクロス市場の規模は2025年の673億円から2031年には2703億円へと拡大する見通しだという。
低誘電CCLの伸長に併せる形で低誘電ガラスクロスの伸びが期待されるほか、2026年以降はSuper Low LossやExtreme Low LossクラスCCL向けの高単価な石英ガラスの出荷増が市場の成長を後押しすることが期待されるとする。ただし、低CTEガラスクロスは2025年時点で供給不足となっており、単価は上昇するが数は出ていないため、数量面よりも金額面での成長が先行すると予測されている。
実装装置は地政学リスク分散も追い風に
実装関連装置では、先端パッケージ向け装置の需要が好調で、2025年は高価格帯の製造装置が市場拡大に寄与しており、2026年以降もこの傾向は続くとみられる。
加えて、地政学リスク低減の観点から、後工程・実装拠点を分散させる動きが出てきており、インドや北米、東南アジアといった地域での需要増加が見込まれるともしている。
これまで、半導体デバイスの高性能化は前工程におけるプロセスの微細化によるトランジスタ数の増加がけん引してきた。しかし、プロセスの微細化はオングストローム時代に到達し、物理限界を迎えつつあり、性能の伸びを維持する新たな手法の採用が求められている。先端パッケージは、複数のチップレットを組み合わせたり、メモリとロジックの距離を縮めることで高速化を実現するなど、新たな高性能化の方向性を示すものとなってきている。今後の半導体の高性能化競争には、単なる前工程での先端プロセス採用から、後工程・実装を含めた総合力総合力へと移りつつあり、活用したいシステム全体を理解して、それに適した高性能な半導体デバイスを用意するという意味では、実装技術や材料の高度化がシステム性能やコストを左右する要素となっていくと言える。
