AMDのDavid McAfee氏が8月21日に来日し、30分程ではあるが時間を戴いて色々お話することが出来た。今回はプレゼンテーションも何もなく、いきなりQ&Aの形式でのスタートであった。ということで、以下一問一答式にその模様をお届けしたい(Photo01)。

  • David McAfee氏

    Photo01:右がDavid McAfee氏(CVP&GM、Client Channel Business)。左がTravis Krisch氏(Sr. Director、Product Management, Client Graphics Business Unit)。Krisch氏はMcAfee氏ともう15年位一緒に仕事をしており、メインはGPUであるが最近はCPUも担当になったそうだ

Ryzen Threadripper Proはどういった分野で活用されているのか

Q:Threadripper Pro 9000 WXでは新しく16coreのSKUが追加されたが、それはなぜでしょうか? そもそも12/16coreのSKUはどういうユーザーを想定しているのですか?

A:Threadripper Proを含むワークステーション(WS)全体のマーケットを見ると、意外にコア数の少ないシステムの出荷量がかなり多い。というのは一部のアプリケーションは高い動作周波数を求めているからだ。例えばCAD向けの場合、コア数を増やしても性能はスケールしない。そういうシステムの導入を考えているユーザーには、多コアのメリットを訴求できない。

Q:12/16coreだとRyzen 9と競合する可能性はないのでしょうか? 確かにRyzen 9だとメモリは2chしかないがDIMMスロットは4本あるからメモリ搭載量は確保できるのでは?

A:RyzenになくてThreadripper Proにあるものは、メモリ帯域幅、総メモリ容量と高いPCIeの拡張性ということになる。Threadripper Proは(TDPが遥かに高い関係で)Ryzenより高い動作周波数で動作する。

Q:次に価格について聞かせてください。Threadripper/Threadripper ProとEPYCの価格を比較する(表1)と、ThreadripperはともかくThreadripper Proの値段はEPYCと同等か下手をすると高い場合もあります。もし私がIT Managerだったら、ユーザーがThreadripper Proを買いたいといったらEPYCはどうだ? と答えると思いますが、そもそもどうしてこんな価格設定になっているのでしょう?

  • 表1

    表1:コア数別のThreadripper Pro/ThreadripperとEPYCの価格比較

A:同じコア数であれば、Threadripper Proの動作周波数はEPYCより高い(表2)。さらにオーバークロック(OC)も可能だ。あと、もう1つ加えると、EPYCの価格は通常1KU(1000個あたり)のもので、単体で買うともっと高くなる。一方Threadripper Proは個々のユニット価格として設定されている。

  • 表2

    表2:コア数別とThreadripper ProとEPYCの周波数比較

Q:価格についてもう1つ質問です。COMPUTEXのタイミングでThreadripper Pro 9945WXの価格は未定になっていましたが、もう決まりましたか?

A:Threadripper Pro 9945WXに関しては個別の製品としては提供せず、OEMあるいはシステムビルダーにのみ提供している。それもあって価格は公開していない。

Q:Threadripper関連の質問としては最後となりますが、特にThreadripper ProのMRDIMMサポートはどうなってますか? もうJEDECは正式にMRDIMMのGen 1/2の仕様策定を行っている事を表明しており、Working GroupにはAMDも加わっていると思いますが?

A:Threadripper(Pro)とTurinファミリーのEPYCはIOダイが共通であり、そしてEPYCはMRDIMMをサポートする。これは多くのサーバーの顧客がそれを要求するからだが、Threadripperに関して言えばそうしたニーズがあるかどうか今のところ定かではない。もちろん同じシリコンだから、技術的にはそれをサポートすることは可能である。なのであとは顧客のデマンドを継続的に注視し、それを提供するかどうかを決めることになると思う。

Q:そのサポートされるMRDIMMはGen 1でしょうか? それともGen 2になるのでしょうか?

A:申し訳ないが、そこまでは分からない。