AM5はできるだけ長く活用するプラットフォーム

Q:ここまでThreadripper Pro、Ryzen、Radeon AI Proと聞いてきましたが、それ以外についても教えてください。AM4は2016年、AM5は2022年にリリースされた訳ですが、次世代プラットフォームとなるAM6は予定通りに開発は進んでいると考えて良いでしょうか?

A:AM5の次のプラットフォームに移行する具体的なスケジュールはまだ未定である。先程も説明したように、AM5を可能な限り長く維持したいと考えている。AM4からAM5への移行を振り返ると、非常に困難なプロセスだった。AMDだけでなくエコシステム全体にとっても、メモリとマザーボードを適切な価格帯で供給するためにすべての要素を調整するのは非常に困難だった。

AM5に関して言えば、最初の3~4四半期は我々が望んでいたよりも遅いスタートとなった。AM5からAM6への移行においては、ロードマップ上のすべての製品について同じインフラを維持できるか、PCIeやメモリ、その他のI/Fなどが必要かどうかを評価している。

先にB650と100ドルのマザーボードの話が出たが、プラットフォームを数年おきに更新するというのは実際にはユーザーに困難を強いることになる。1つのプラットフォームを長期間維持しながら数百万台の出荷量を維持するという事は、すべての消費者に対して最も手頃な価格を実現する最良の方法だと考えている。それに最初の購入者にとっては、2~3世代後のアップグレードも簡単になる。なので、市場に何か強制的な要因が起きない限り、変更しないのが論理的だと考えているし、そうした要因が無い限り2027年以降もAM5をデスクトッププラットフォームとして維持したいと考えている。

Q:逆に言えば、強制的な出来事、例えばDDR6の登場がAM6を導入する主要な要因になり得ると考えて良いのでしょうか?

A:そう思っている。

Q:ところでCEOのLisa SuがすでにTSMC N2(2nmプロセス)で製造されたZen 6ベースのEPYC製品のコアを「Venice」(開発コード名)として紹介しましたが、なぜVeniceなのでしょうか?

A:どういうこと?

Q:Veniceというのは90nm SOIプロセスで製造されたL2 512KBのAthlon 64のコード名でした。McAfee氏は2006年にAMDに入社されましたが、その時にはまだ市場でVeniceベースのAthlon 64が売られてましたよね?

A:なるほど。我々はそのオリジナルのVeniceをTSMCの2nmに移行させたんだ(笑)。

真面目な話をすると、ご存じの通り我々はサーバプロセッサとデスクトッププロセッサは同じものを利用している。だからLisaが示したVeniceと同じアーキテクチャのものがデスクトップでも提供されると考えている。

  • David McAfee氏

Q:確認ですが、2025年中にZen 6ベースのRyzenがリリースされる可能性はありますか?

A:未発表の製品にはコメントできない。期待するのは自由だが、私からはコメントできない。

Q:OK。McAfeeが今年中にZen 6 Ryzenが出る予定と言ったと書いておきましょう(笑)

A:(笑)

ということで30分強ほどのインタビューではあったのだが、MRDIMMのサポートの話とか12VHPWRコネクタに対するAMDとしての姿勢、B650チップセットに関する予定など、色々はっきりしない事が明確になったのは成果であった。

ちなみに同行した編集担当が「デスクトップのシェアが40%を超えたというレポートが出ているが、AMDの立場から見てのこの成長の要因は?」という質問をMcAfee氏に投げたのだが、その返事が「X3Dのような製品のお陰でエンスージアスト(愛好家たち)がAMDを選ぶようになり、そうした人々が周囲にAMDを勧めてくれたこと。Socketの長期サポート、製品の安定性、同じプラットフォームを維持しながら新製品を出す事、そして消費者の声を聴き続ける事」だった。いずれもIntelがその獲得に失敗した事柄である。逆に言えば、今のAMDはIntelの失敗をしっかり分析し、油断すると同じ轍を踏むことになるという事を骨身にしみて判っているからこその戦略とも言えるだろう。

IntelはNova Lake世代でなんとかこのギャップを縮めようとしているが、さてそこまでの間にどれだけAMDはリードを広げられるだろうか? そうした意味でもAMD、Intel両社の今後の市場に対する取り組みを含めた動きに注目である。