COMPUTEX TAIPEI 2025が開催中の台湾・台北市で、AMDが記者発表会を開催し、コンシューマ向けGPUの新モデル「Radeon RX 9060 XT」と、ワークステーション向けGPUの新モデル「Radeon AI PRO R9700」、さらにエンスージアスト向けの新世代CPU「Ryzen Threadripper 9000シリーズ」をまとめて発表した。

  • AMDがCOMPUTEX TAIPEI 2025でプレスカンファレンスを開催。登壇したのは同社のシニアバイスプレジデント兼コンピューティング グラフィクスグループ ゼネラルマネージャーのJack Huynh氏。GPUで「Radeon RX 9060 XT」や「Radeon AI PRO R9700」、CPUで「Ryzen Threadripper 9000シリーズ」と、どれも注目度が高い3つの新製品を発表

    AMDがCOMPUTEX TAIPEI 2025でプレスカンファレンスを開催。登壇したのは同社のシニアバイスプレジデント兼コンピューティング グラフィクスグループ ゼネラルマネージャーのJack Huynh氏。GPUで「Radeon RX 9060 XT」や「Radeon AI PRO R9700」、CPUで「Ryzen Threadripper 9000シリーズ」と、どれも注目度が高い3つの新製品を発表

Radeon RX 9060 XT

「Radeon RX 9060 XT」は、1440pをターゲットとしたミドルクラスのゲーミングデスクトップPC向けで、アーキテクチャはRDNA 4ベース。VRAMの容量別に8GBモデルと16GBモデルをラインアップし、VGAの参考価格は8GBモデルが299ドル、16GBモデルが349ドル。発売時期は今年の後半を予定している。

  • Radeon RX 9060 XTの主なスペック。16GBのVRAM容量は強みとなりそう

  • 1440p環境における、Radeon RX 9060 XTの「16GB」(349ドル)と、GeForce RTX 5060 Ti「8GB」(379ドル)との性能比較

  • COMPUTEX会場ではさっそく主要VGAメーカーがRadeon RX 9060 XT搭載グラフィックスカードを出展していた。写真はGIGABYTE

  • ASRockはショート基板のRadeon RX 9060 XTカードも出展

  • 補助電源は8ピンが1個。TBPのスペックは150W~182W

  • 今回のRadeon RX 9060 XTの発表にあわせて、DLSSに対抗するAMDの超改造技術「FSR」について、最新版の「FSR 4」を投入したこと、さらにこのFSR 4へ今年後半に追加する新技術「FSR Redstone」の発表もあった。FSR Redstoneは、FSRのレイトレーシング品質向上やアップスケール、フレーム生成などを、DLSSのようにAI機械学習ベースで効率化するというもの。なお、RDNA 4世代のAIアクセラレータのハードウェアに最適化された機能だそうだ

  • FSR 4関連の話として、AMDがソニーと共同で取り組む「Project Amethyst」への言及もあった。ゴースト・オブ・ツシマのアップスケール処理をFSR 3.1とFSR 4で比較し、FSR 4でより正確なディテールで描画できているというデモを披露。果たして、RDNA 4世代のGPUを搭載する新プレイステーションなんてものもあり得るのだろうか?

Radeon AI PRO R9700

「Radeon AI PRO R9700」は、RDNA 4をベースに、AMDの第2世代AIアクセラレータを搭載したデスクトップワークステーション向けGPU。32GBの大容量VRAMを搭載しており、ローカルでのAI推論、高度なクリエイティブ作業といった用途に適している。価格は未定で、発売は今年7月を予定している。

  • 「Radeon AI PRO R9700」を発表。価格は未発表だが、おそらく手ごろな価格で大容量VRAMなAIワークステーション用GPU

  • ローカルAIを扱うのに32GBは待望のサイズだ、というプレゼンテーション

  • COMPUTEX会場でも製品展示がはじまっていた。写真はASRockブースで公開されていたカード

加えて、4枚のRadeon AI PRO R9700カードを1台のシステムに組み込むマルチGPUへの対応も発表した。比較的安価なクラスのGPUでありながら、VRAMの合計が、カード当たり32GB×4枚で、128GBという大容量VRAMを実現できる。軽量LLMをローカルで動かす用途の拡大が期待できる。

  • 4枚のRadeon AI PRO R9700カードを1台のシステムに組み込むマルチGPUに対応。あわせて128GBのVRAM環境を実現

  • ASRockブースではRadeon AI PRO R9700カード×4枚を実際に組み込んだ実機を動作状態で展示していた

  • フルタワーサイズのデスクトップケースに収まっていて、ちなみに電源は2500Wだった

Ryzen Threadripper 9000(とPro 9000 WX)シリーズ

「Ryzen Threadripper 9000シリーズ」は、エンスージアスト向けデスクトップCPU、Ryzen Threadripperの新世代シリーズ。より大規模でプロ向けとなる「Ryzen Threadripper Pro 9000 WXシリーズ」もあわせて発表されている。

  • Zen 5世代のRyzen Threadripperが登場。うちRyzen Threadripper Pro 9000 WXシリーズには企業向けセキュリティや管理機能である「AMD PRO テクノロジー」も追加される

飛びぬけたコア数とメモリ帯域幅が特徴で、4nmプロセスで製造される、Zen 5世代のThreadripperだ。「Shimada Peak」の開発コードネームで知られていた。

最大コア数はRyzen Threadripper 9000シリーズで64コア(128スレッド)、Ryzen Threadripper Pro 9000 WXシリーズで96コア(192スレッド)にもなる。ともにSocket sTR5で使うことができる。

  • 発表会場で披露されたZen 5世代Ryzen Threadripperの実際のチップ。ダイの配置からRyzen Threadripper Pro 9000 WXシリーズとみられる

  • Ryzen Threadripper 9000シリーズのパッケージのイメージ

  • 左がRyzen Threadripper 9000シリーズ(9980X)、右がRyzen Threadripper Pro 9000 WXシリーズ(9995WX)のダイ実装のイメージ

  • Ryzen Threadripper 9000シリーズのSKU。最上位モデルのRyzen Threadripper 9980Xは、64コア(128スレッド)の大規模マルチコアが、最大5.4GHz(ターボ時)で動作する

  • Ryzen Threadripper Pro 9000 WXシリーズのSKU。最上位のRyzen Threadripper Pro 9995WXは、96コア(192スレッド)のマルチコア、最大5.4GHz動作(ターボ時)。L3キャッシュも9980Xの256MBより1段多い384MBに

  • IntelのXeon W9-3595Xとの性能比較

発売時期について、Ryzen Threadripper 9000シリーズは、このCPUを搭載するハイエンドデスクトップ製品と、自作PC向けの単体ボックス製品ともに今年7月を予定している。

Ryzen Threadripper PRO 9000 WXシリーズについては、今年の後半にDell、HP、Lenovo、SupermicroらがこのCPUを搭載するワークステーションとして製品化を予定している。ほか、一部モデルはDIY向けにも今年7月頃にリリースされる予定があるとのこと。

  • Ryzen Threadripper PRO 9000 WXシリーズでも、一部モデルというが自作PC向けボックス製品の予定がある