2024年のOSAT市場は約416億ドル
TrendForceの半導体パッケージングおよびテスト外部受託(OSAT)業界に関する最新レポートによると、2024年の上位10社の売上高合計は前年比3%増の415億6000万ドルとなり、トップはシェア約45%とASEが堅持したものの、中国勢が政府の政策と国内需要に支えられ、2桁成長を達成し、存在感を高めているという。
シェアの約半数をASEが獲得も、中国勢が成長
企業別に見ると、ASEの2024年売上高は前年比0.7%減の185億4000万ドルで、シェアは約44.6%と圧倒的だが、スマートフォン(スマホ)、コンシューマ、自動車、産業機器などの市場の回復が鈍化した影響を受けた。また、最終試験については、競争の激化に加えて、最終試験分野における一部顧客の社内試験の増加などの影響もあるとする。
2位の米Amkorの売上高は同2.8%減の63億2000万ドルで、コンシューマ分野は回復しつつあるも、中国や東南アジアにおける価格圧力の影響のほか、自動車分野の低迷の影響を受けたという。
3位の中JCETは民生用電子機器の需要回復に伴い同19.3%増の50億ドルと成長を果たした。4位の中TFME(Tongfu Microelectronics:同富微電子)も、通信機器および民生用電子機器の需要回復に伴って同5.6%増の33億2000万ドルと成長。中でも主要顧客であるAMDが好調であったことも下支え要因となったという。
5位の台PTI(Powertech Technology)の売上高は同1%増の22億8000万ドルと微増にとどまったが、6位の中TSHT(天水華天)の売上高は同26.0%増の20億1000万ドルと、上位10社の中でも最も高い成長率を示した。同社はローエンド/ミッドレンジのパッケージ対応のみならず、AI、HPC、車載エレクトロニクス、メモリなどのハイエンド向け開発にも投資しており、中国国内に強力な顧客基盤を有している。
7位の中WiseRoadは同5%増の15億6000万ドルと成長したが、米中半導体摩擦の影響による一部の海外競合企業の中国からの撤退による中国での事業拡大が下支えとなったという。8位の韓Hana Micronは、メモリ顧客にけん引される形で同23.7%増の9億2000万ドルとなり、前年の9位から順位を1つ上げた。代わって9位となったのが前年8位の台KYEC(King Yuan Electronics:京元電子)で、AI/HPCでの需要の伸びがあった一方で、子会社KLTechの売却もあり、売上高は同14.5%減の9億1000万ドルに留まった。
そして10は台ChipMOSで、自動車およびOLED部門の安定したドライバIC事業の需要により、売上高は同3.1%増の7億1000万ドルとなった。
中国勢の台頭で競争が激化
なお、TrendForceによるとOSAT業界は、異種インテグレーションやウェハレベルパッケージング(WLP)からダイスタッキング、高度なテスト機器の導入、そしてAIやエッジコンピューティングを背景とした高周波・高密度パッケージングへの需要の急増に至るまで、厳しさを増す技術要件に直面しており、高度なインテグレーションと研究開発を中核とする戦略セクターを軸として従来の製造モデルから急速に進化しつつあるという。また、中国勢が急速に台頭してきており、こうした動きは今後の競争激化につながる可能性が高いとしている。