半導体および電子デバイスに関する世界最大級の国際学会「IEDM 2024」が2024年12月7~11日にかけて、米サンフランシスコ市にて開催されたが、その基調講演にTSMCの上席副社長(EVP) 兼 共同最高執行責任者(COO)のY.J. Mii氏が登壇。「半導体産業の展望と新しい先端技術」と題して、半導体産業の展望を語った。
同氏は、講演の冒頭、「半導体業界は、新しい材料、高度な処理技術、最先端の設計が融合してテクノロジーの未来を形作る、イノベーションのダイナミックな産業分野である。テクノロジーのスケーリング(比例縮小)の原則に支えられたこの分野は、限界を押し広げ続けており、AI(人工知能)、HPC(高性能コンピューティング)、5G/6G、自動運転、IoTなどの革新的なアプリケーションを可能にしている。時間の経過とともにスケーリングが進化し、チップの効率とパフォーマンスの新たなレベルが実現している。地平線は、EUVリソグラフィのブレークスルー、CFET(コンプリメンタリFET)などの新しいデバイスアーキテクチャ、新しい低次元チャネル材料、DTCO(設計・プロセス技術の同時最適化)の戦略的相乗効果で明るく輝き、刺激的な新しいテクノロジー時代への道が開かれようとしている。さらに高度なパッケージング技術によりシステムレベルのパフォーマンスが向上し、計算能力が融合されて現在の限界を超えるようになるだろう」と述べ、半導体業界の先行きは明るいとの見方を示した。
また、「RF、不揮発性メモリ、電源管理、CMOSイメージセンサ、シリコンフォトニクスなどの成長により、革新的なデバイスの範囲が拡大している」とスペシャルティテクノロジ(特殊技術)の重要性にも言及するなど、半導体業界の新たなトレンドの探索と、これらの先端分野がどのようにスマートテクノロジーの統合を推進し、社会に明るい未来もたらすかの洞察が語られた。