STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は1月23日(欧州時間)、NFC技術を採用するアプリケーション開発を簡略化することを目的に、同社のNFCリーダライタIC「ST25R200」を搭載したNFCリーダライタIC評価キット「STEVAL-25R200SA」を発表した。
ST25R200は多目的NFCトランシーバICで、カードの存在を検出するためのさまざまな低消費電力モードと、高い無線通信品質を実現する制御機構などを搭載した同社の最新世代製品。独自のノイズ抑制受信回路(NSR)は、同一機器内に搭載された液晶パネルをはじめとするノイズ源の近くでも高い干渉耐性を確保できるとするほか、送受信回路は高度なアナログ・フロントエンド(AFE)で実装されており、NFC-A/B(ISO 14443A/B)およびNFC-V(ISO 15693)標準規格のデータ・フレーミング伝送に対応しているとする。また、改良された低消費電力カード検出機能(LPCD)を内蔵しており、これによりウェイクアップ制御が簡略化され、スムーズでシームレスなユーザー体験を実現することが可能なほか、1.2Wのトランスミッタにおいては、電磁界強度を調整するためのダイナミック出力調整(DPO)制御と、データ交換中に信号の一貫性を確保するためにオーバーシュート/アンダーシュート抑制機能を備えているとする。
こうした機能を備えた同製品を採用した評価キットは、すぐに電源投入して使える小型のST25R200ボードと、複数のアンテナが同梱されており、ユーザーはシングルまたはデュアル・アンテナ構成など、柔軟に設計を検討することができるほか、50Ωアンテナ・インタフェースや書き込み可能なタグも同梱されているという。
これらを活用することで、ユーザーは迅速にPoC(概念実証試験)用モデルの構築が可能となり、便利な短距離無線通信、機器同士のペアリングや設定、さらに製品認証によるブランド保護などのユースケースを検証できるようになると同社では説明している。また、メインボードとアンテナはNFC認証を取得済みで、医療機器や電動工具、生活家電、ゲーム・コンソール、パーソナル・ケア機器など、さまざまな産業/コンシューマ/健康関連の応用検証に適しているともしている。
なお、ST25R200はすでに4mm×4mmの24ピンTQFNパッケージで量産出荷中で、単価は1000個購入時で約1.99ドル。評価キットについては同社のeSToreから入手可能となっており、参考サンプル購入価格は約61ドルとなっている。