大阪ガスとオージス総研、日本IBMの3社は6月8日、「AIを軸とした次世代ITシステム変革」に向けた検討開始について、共創パートナーシップ合意書を締結した。同日にはオンライン、オフラインによるハイブリッドで説明会が開催された。
大阪ガスと日本IBM、AI活用で次世代IT基盤を共創
共創パートナーシップでは、Daigasグループがこれまで培ってきたエネルギー事業ノウハウと、ITシステム開発・運用に関する知見と経験に加え、日本IBMのAIなどの先進技術、事例をベースに、最新デジタル技術を活用した顧客への提供価値向上、インフラ事業者としての安定的な事業提供基盤の強化を目指す。
大阪ガス 代表取締役副社長CDIO(Chief Digital&Information Officer)の坂梨興氏は「Daigasグループは、カーボンニュートラルの社会実装をリードするプレイヤーを目指しており、お客さまへの提供価値向上にも取り組んでいる。これらの実現に向けて、人口構造の変化やエネルギーシステムの転換などの環境変化を見据える必要がある」との認識を示す。
そのうえで、同氏は「デジタル領域においても近年AIを中心とした急速な技術進展があり、積極的に活用していくことが求められている。一例として、顧客データにもとづく1to1コミュニケーションによる新たな顧客体験の創出などを目指している」と話す。こうした状況をふまえ、DaigasグループにおけるIT領域の目指すべき方向性を将来にわたり、確実にしていくために日本IBMと共創パートナーシップを締結した。
AIエージェントと開発基盤で進める3つの重点施策
具体的には(1)顧客への提供価値向上に向けた取り組み、(2)安定的な事業提供基盤のさらなる強化に向けた取り組み、(3)として(1)と(2)をさらに加速するための取り組みを進めていく。
(1)では、AIエージェントなど最新テクノロジーを適用したシステム改修について検討していく。同社では最新テクノロジーの適用を段階的に拡大しているが、適用範囲を拡大して既存システムの改修に乗り出す。これにあたり、日本IBMのAI技術や既存システムのモダナイズに関する知見を活用する。
坂梨氏は「コンタクトセンターにAIエージェントの導入を検討しており、応対が自動化されることによる混雑時の待ち時間緩和などを目指している。顧客がダイレクトに接するシステムにおいてもAIを適用し、対応スピードの向上や品質の標準化といった顧客満足度の向上につなげていく」と述べている。
(2)に関しては、AIを活用したシステム開発・運用高度化を目指し、AI駆動開発基盤を活用し、現行の開発手法と比較して省力化、工期短縮化を図る。また、システム運用業務でも現行運用ノウハウや作業自動化AI、省力化ツールを用いることで、業務効率性、運用精度の向上を実現していく。さらに、セキュリティ対策の高度化を推進していく。
(3)については、上記の取り組みを加速させるために人材交流による高度DX人材を育成する。AI、モダナイズ、セキュリティをはじめとした戦略領域を着実に推進していくために、日本IBMは独自の教育プログラムを提供し、各社の相互交流も含めて人材を輩出・育成していく考えだ。
日本IBMが示す「AIファースト企業」転換の必要性
一方、日本IBM 取締役副社長執行役員 兼 Chief AI Officer、テクノロジー事業本部長の村田将輝氏は人口減少に加え、AIの進化を含めた現在の環境について以下のように説明する。
「私たちの想像を遥かに超えるスピードで進む変化の中で、従来の延長線上にある既存システム運営のままでは、スピード、生産性、セキュリティ、変革力の面で経営の制約になりかねない。当社が考える脱レガシーは単に古い仕組みを新しくすることではなく、システムの構造や開発の進め方、セキュリティ、そして運営のあり方そのものをAI時代に即した形で見直すこと。人間が支える仕組みから、人間とAIが協調しながら、AIファースト企業に転換することが重要」(村田氏)
そして、村田氏は「DaigasグループのAIファースト企業への転換を支える経営基盤そのものの変革だと考えている。システム部門だけでなく、全社、そしてパートナーを含めた組織横断の挑戦となる。当社はITシステム運営の脱レガシーを進め、AI時代の経営基盤をDaigasグループとともに創造・運営する。また、変革プロジェクトを通じてAI時代をけん引する次世代人材の育成とスキル開発を実現し、カルチャー変革を促進していくパートナーの役割を果たす」と力を込めていた。
3社は現在、パートナーシップのもとで複数の専門検討チームを立ち上げており、各領域における具体的な技術検証およびロードマップの策定を進めている。2026年度中をめどに具体的なシステム・業務へのAI適用を拡大し、Daigasグループのデジタル変革を確実していく計画だ。



