米国商務省は1月16日(米国時間)、「CHIPSおよび科学法(CHIPS法)」に基づきAnalog Devices(ADI)に対して最大1億500万ドルの直接資金提供を行うことを目的とした暫定覚書(PMT)に署名したことを発表した。
ADIはこの資金を活用し、マサチューセッツ州チェルムズフォードにある2つの先進研究開発(R&D)および無線周波数(RF)マイクロ波(MW)システム製造施設の拡張と近代化を図るとともに、オレゴン州ビーバートンとワシントン州キャマスにある2つの半導体製造施設の拡張と近代化を図るとしている。また、この拡張および近代化に伴い、これらの拠点で合計約500人の製造およびエンジニアリングの雇用が創出される可能性があるという。
マサチューセッツ州への投資を通じて、ADIはパッケージングおよびテスト施設のモジュール生産量を増やすことができるようになり、商業、宇宙、防衛アプリケーションおよび新しい商業用フェーズド・アレイ・アンテナとセンサソリューションの生産能力につなげることができるようになるという。また、オレゴン州とワシントン州の拠点では、180nmおよび350nmプロセスの国内での生産を含む、さまざまな成熟プロセスに対応する工場の生産能力を70%増加させることが目的とされており、近代化の一環として、環境に優しい製造プロセスを採用することで、溶剤の使用削減に向けた取り組みも行う予定としている。
さらに、従業員の育成とコミュニティへの投資を促進することを目的として、地元大学、コミュニティカレッジ、その他の教育パートナーとのパートナーシップを強化するほか、オレゴン州とワシントン州のプロジェクトの一環として、半導体先進製造技術向上(SAMU)技術者トレーニング施設を立ち上げ、シリコンフォレスト(オレゴン州のヒルズボロ周辺で形成されている半導体産業の集積地)の製造業者と協力者を支援するプログラムを提供するとしている。加えて、製造業の従業員が準学士号と技術認定を取得できるように、追加の財政支援も計画するとしている。
なお、米商務省はADIへのPMT署名と併せてCoherentへ最大7900万ドル、Intelligent Epitaxy Technology(IntelliEPI)へ最大1030万ドル、Sumika Semiconductor Materials Texas(住友化学の100%子会社であるDongwoo Fine-Chemの米国子会社)へ最大5210万ドルの資金提供を目的としたPMTにも署名しており、Coherentはペンシルベニア州イーストンにある既存製造施設の拡張による150mm/200mm SiCウェハの生産能力増強、IntelliEPIはテキサス州アレンの既存製造施設の拡張と近代化による化合物のエピタキシャルウェハの増産、Sumikaは、テキサス州ベイタウンで建設される超高純度(UHP)イソプロピルアルコール(IPA)工場の支援にそれぞれ提供される資金を投入する予定としている。