Texas Instruments(TI)は12月7日、低消費電力のGaN製品ラインナップの拡充として、コンシューマ向け電子機器や産業システムのAC/DC電源設計において、電力密度の向上、システム効率の最大化、並びにソリューションサイズの小型化を実現するゲートドライバ内蔵GaN FET「LMG3622/3624/3626」を発表した。

近年、コンシューマユーザーであっても、さまざまな電子機器を持ち歩くことが増えてきた。そうした中、それら機器のバッテリーを充電するための電源アダプターを持ち歩く必要があり、USB Power Delivery(USB PD)が登場したものの、結局のところ何かしらの電源アダプターを持ち運ぶ必要があり、その小型、軽量化が求められるようになっている。また、産業機器では高い信頼性を維持したまま、電力密度を高めることで電源部分の省スペース化したいというニーズもあり、GaNパワーデバイスに対する注目度が高まる状況にある。

同社はそうしたニーズに対応するべく、今回、新たな製品群として、650V耐圧の3製品を開発。「LMG3626」がオン抵抗270mΩ品、「LMG3624」が170mΩ品、「LMG3622」が120mΩ品という位置づけとなっている。同社によると、これらのパワーデバイスは、75Wより高いAC/DCアプリケーションで最大95%のシステム効率を達成できるようになっているとするほか、75W未満のAC/DCアプリケーションでも最大94%のシステム効率を提供することが可能だとしている。

また、ディスクリートのGaNソリューションやシリコンパワー半導体ソリューションと比べて、例えば67W電源アダプタのソリューションサイズを50%削減することができるとするほか、高精度な電流センシング機能を搭載することで外部シャント抵抗を不要としたため、シャント抵抗に関連する電力損失を94%低減できるようになったとしている。

  • 電流センシング機能を搭載

    電流センシング機能を搭載することで、電力損失を低減できるようになった (資料提供:Texas Instruments)

さらに、抵抗の低減などによるシステム温度の低減も実現。これにより、放熱への対策も従来に比べて容易になり、政府規制であるIEC 62368-1への準拠もしやすくなるとも同社では説明している。

このほか、電流センシング機能を有さない「LMG3612」および「LMG3616」もピン互換デバイスとして用意(パッケージは8mm×5.3mmの38ピンQFN)。3製品のうち、LMG3622およびLMG3626はすでに量産対応済み、LMG3624は量産開始前の限定数量の提供となっており、単価(参考価格)は1000個注文時で3.18ドルからとなっている。また、すでに評価基板(EVM)として「LMG3622EVM-082」および「LMG3624EVM-081」も250ドルより提供されているという。

  • EVMも提供済み

    EVMもすでに提供済みとなっている (資料提供:Texas Instruments)