ヤマハ発動機は8月25日、植物由来のセルロースナノファイバ(CNF)強化樹脂を、水上オートバイ「ウェーブランナー」およびウォータージェット推進機搭載「スポーツボート」の2024年モデルへ採用し、北米にて販売を開始したことを発表した。
ヤマハ発動機は、2022年2月に発表した中期経営計画(2022年~2024年)において、持続的な社会への貢献を目指し、サステナビリティ対応の強化を進めているという。その中で今般、CO2の削減および環境負荷低減に対する取り組みとして、CNF強化樹脂素材を用いた製品開発を進め、輸送機器部品として初めて量産化に至ったとする。
CNF強化樹脂は、木質資源を活用したバイオマス素材のCNFを、ポリプロピレンなどの樹脂へ混錬・分散することにより製造される高強度の新素材で、既存樹脂材料に比べて25%以上の軽量化が図れるのに加え、マテリアルリサイクル性に優れており、プラスチック使用量の削減やCO2などの温室効果ガスの排出削減につながるという。
同社によると、今回量産を開始したCNF強化樹脂部品は、日本製紙との協業によって実用化に向けて開発を進め、エンジン部分の一部であるエンジンカバーとして採用されたとのこと。同部品は海水と熱による過酷な環境下での使用が想定されるため、今回は既存材料と同程度以上の強度などの材料物性を確保しているとする。
そして将来的にはマリン製品のみならず、種々のCNFの活用を視野に入れ、二輪車などを含む幅広い製品群への展開を検討しているとのことだ。
ヤマハ発動機は、持続的社会への貢献やカーボンオフセットへの取り組みを加速させるため、今後もサステナビリティに寄与する研究開発を推進するとしている。