ヒューマノイドロボットに特化したという展示会「ヒューマノイドロボットEXPO」が4月15日〜17日、東京ビッグサイトにて初めて開催された。ロボット全般を扱う展示会はこれまでもあったが、主催社によれば、ヒューマノイドロボット専門をうたうのは日本初だという。年2回の開催を計画しており、次の秋展は幕張メッセで実施される予定だ。
初開催ということもあり、展示エリアはホールの一角だけで、出展社の数もまだ多くはなかった。そんな中、各社のブースで展示されていたのは、ほとんどが中国製のロボット。ヒューマノイドのデモというと、派手なダンスばかりが注目を集めがちだが、今回の展示の多くは実用シーンをイメージしたものが多かった印象だ。
どんなヒューマノイドロボットが登場していたのか。以下で紹介しよう。
最大ブースで接客・荷運びデモを見せた「Galbot」
今回、最も広いブースでデモを行っていたのがGalbotである。同社のロボットは、車輪移動タイプ。「G1」は、カウンターで注文された商品を取ってきて渡すという、コンビニをイメージしたデモを披露していた。左手はグリッパ、右手はエアで、商品によって使い分ける。中国では、このようなGalbotストアがすでに100店以上稼働しているとか。
【動画】「G1」のデモ。アイドル状態でもひたすらしゃべっていた。ちなみに一人称は「ガルちゃん」らしい
一方「S1」は、重量物の運搬が可能なパワフル仕様。上半身がスライドすることで、高さ0mから2.3mまで広く対応する。デモは、バッテリ工場を想定したものとのこと。S1は最大50kgまで対応するが、これはトルク的に最も厳しい腕を伸ばした状態の数字であり、もし腕を縮めた状態であれば、135kgまで持つことができるそうだ。
【動画】「S1」のデモ。積み上げられたケースの山から、ひとつを少しずらしてからその隙間にハンドを差し込むなど、器用な動きで運んでいた
同社は2足歩行型の研究開発も行っているが、より実用的なのは車輪移動型、と見る。重いバッテリが台車側に入っており、重心が低くて安定しやすいなどのメリットをアピールしていた。
豪快なシュート放つキッズロボ! 「Booster Robotics」
Booster Roboticsは、キッズサイズのロボット「K1」「T1」を出展、サッカーのデモを行っていた。身長は、K1が95cm。T1は少し大きく118cmだ。大人より小さいため実用向きではないが、軽量で扱いやすく、研究・教育分野などに適している。ロボットサッカーの世界大会「ロボカップ2025」では、このロボットを使ったチームが優勝したとのこと。
【動画】「K1」によるサッカーのデモ。人間さながらに助走してから打つシュートは、なかなか豪快だった
身長172cm・42自由度の研究開発ロボを出展「GA Robotics」
GA Roboticsのブースでは、UBTECHのロボット「Walker Tienkung」を見ることができた。このロボットは、身長172cmというフルサイズ。自由度は42軸あり、様々な作業を行わせることが可能だ。ボルトを掴んでトレーに置くだけというデモはちょっと地味だったが、研究開発向けのプラットフォームとして提供しているとのこと。
【動画】デモの動画。ボルトの位置を認識し、ハンドで掴んでトレーに置く動きを繰り返していた
人型ロボ+VRゴーグルで遠隔操作デモ「アスカ(UNI-ROBO)」
アスカ(UNI-ROBO)は、DOBOTのロボット「Atom Max」を使った遠隔操作と模倣学習のデモを行っていた。このロボットは、身長165cm、自由度41軸で、人間のような膝を伸ばした歩行が可能。デモでは、まずVRゴーグルを装着した作業者がロボットを遠隔操作で動かし、その動作を模倣学習した別のロボットが自律的に作業する流れを紹介していた。
【動画】遠隔操作と模倣学習のデモ。人間がお手本を見せて学習させるため、プログラミング不要で導入しやすい
ソリューション開発中心、Unitree販売代理も行う「ポケット・クエリーズ」
ポケット・クエリーズは、4足型のロボットを出展。ヒューマノイドの専門展なのになぜ人型がないのか疑問に思ったので聞いてみたところ、本当はUnitreeの「G1」を持ってくる予定だったのに、間に合わなかったのだそうだ。なお同社はUnitreeの販売代理店でもあるが、ソリューション開発サービスの方をメインで行っているとのこと。
圧倒的な存在感の中国勢。国産ロボット出展に期待
近年、ヒューマノイドロボットの進化が著しい。その原動力はふたつある。技術的な原動力となっているのは、いわゆる"フィジカルAI"の登場だ。工場内の産業用ロボットは決め打ちの動作でも問題なかったが、それだと、より複雑な生活環境などへの対応は難しい。外部の状況を見て、自律的に考えて動くAIが不可欠で、これが現実になりつつある。
社会的な原動力は、ニーズの増大だ。日本はもちろん、世界の多くの国で人口減少が進んでおり、不足する労働力をカバーする存在として、ロボットが期待されている。これまで、ロボットの普及が進んでいなかった分野はまだ多く存在し、ロボットにとって大きな市場になると予測されるため、投資が盛んになってきている。
用途によっては、必ずしもヒューマノイドである必要はないのだが、ヒューマノイドであれば、人間が働いていた環境にそのまま導入しやすい、というメリットがある。床が平らな前提であれば、2足歩行ではなく車輪で移動する方式でも良く、それなら転倒しやすいという弱点もカバーできる。工場での活用も始まりつつある。
ヒューマノイドはかつて、日本のお家芸とまで言われていたが、現在、最先端を走っているのは、間違いなく中国である。メーカーの数、技術者の層の厚さ、投資の金額、技術実証のスピード感などは圧倒的。今回の展示会でも、どこを見ても中国製のロボットばかりだったというのは、そういった現在の情勢を端的に表している。
ただ、安くて良いものが買えるなら、別に外国製でも良いじゃない、というのは、現在のレアアースなどの状況を見ても分かるように、安全保障上の大きなリスクになり得る。やはり国産ロボットは不可欠で、日本は現状をしっかり認識した上で、戦略的に追い上げていく必要がある。次回以降、国産ヒューマノイドの展示が増えることを期待したい。












