PTCは3月24日、同社のCreo CAD事業部門でディビジョナルバイスプレジデントとゼネラルマネージャーを務めるブライアン・トンプソン(Brian Thompson)氏によるラウンドテーブルを開催。5月16日~18日(米国時間)に開催される「LiveWorx 2023」に向け、「CADをとりまく5つのトレンド」と題してCAD市場の流れや今後への見通しを語った。

  • PTCのCreo CAD事業部門でディビジョナルバイスプレジデントとゼネラルマネージャーを務めるブライアン・トンプソン氏

    PTCのCreo CAD事業部門でディビジョナルバイスプレジデントとゼネラルマネージャーを務めるブライアン・トンプソン氏

Creoのトップが語る製造業の技術トレンド

トンプソン氏は、製造業のさまざまな領域で15年以上にわたって電気・機構設計に従事した経歴を持ち、現在PTCでは、CAD部門のシニアバイスプレジデントとしてCreo事業を率いている。今回のラウンドテーブルでは、トンプソン氏が到来を予測する製品開発における5つの進行トレンドについて、見通しが語られた。

テーマとなった5つのトレンドは以下の通り。

  • シミュレーション駆動型設計の採用
  • 新興技術によるイノベーションの実現
  • デザインプロセスによるデジタルスレッドの推進
  • クラウドコンピューティングとSaaSの活用
  • トレーニングへの投資

シミュレーション駆動型設計の採用

昨今の製造業における製品開発では、設計の早い段階でシミュレーションを実施するシミュレーション駆動型設計(Simulation-Driven-Design: SDD)の導入が徐々に進んでいる。設計プロセスの早期段階でシミュレーションによる解析を実施することで、早い段階から多くの情報を得ることができ、デジタルテストによってより多くの可能性を追求できるようになるという。

これまでの現場ではSDDに対するニーズはありながらも、設計者と専門知識を持つ解析の担当者との間でコミュニケーションコストが発生することや、解析によって設計の流れを止めるのに対する懸念から、その導入は進んでいなかったという。

しかし今後は、解析担当者とのコミュニケーションが不要で、設計者自らシミュレーションを行える設計ソフトによって、コストの低減や作業時間の効率化が実現されるとする。トンプソン氏は、PTCがAnsysとの連携により提供を開始した解析ツール「Creo Ansys Simulation」などの活用により、よりスムーズな製造が実現されると自信を見せた。

新興技術によるイノベーションの実現

またトンプソン氏は、ニーズが増加する新興技術として“ジェネレーティブデザイン”と“アディティブマニュファクチャリング”を挙げる。

前者は、ユーザーが設計における要件や課題をあらかじめ定義することで、システム側で最適な設計を導き出すもの。設計者が構築した設計に対して早期からシミュレーションを行うSDDに比べ、より短時間でデザインの最適化を行うことができるため、設計期間を削減するという。

一方のアディティブマニュファクチャリングは、AIなどによって既存の設計に対する改善案を開発する技術で、ユニークかつ革新的な設計を実現できるとする。同技術は現状、試作段階に主に用いられており、未だ大量生産に適用する段階には来ていないものの、製造業の未来を考える上で非常に多くの関心が寄せられているとのことだ。

トンプソン氏は、ジェネレーティブデザインとアディティブマニュファクチャリングの両技術の効果を最大化するためには、製造におけるデジタルスレッドの中に組み込む形でシームレスに導入する必要があるとする。そしてPTCの戦略としては、同社が提供する「Creo」の中で提供することを目指すという。

特にアディティブマニュファクチャリングについては、そのシステムの複雑さからツール開発の難易度が非常に高いというが、それでも今後引き続いて開発に取り組む姿勢を強調した。

Creoの新サービスをLiveWorx 2023で発表予定

トンプソン氏はこのほかにも、モデルベースでの設計製造によるプロセスの効率化実現に向けて、デジタルスレッド全体に対するソリューション提供を強化していくとする。またその中では、作業者同士のコラボレーションを強化するサービスのクラウド化や、機能のアップデートを随時実現するSaaS化といった、さまざまな革新を進めているという。

  • モデルベースでの設計開発のメリットと、PTCのアプローチについて語るトンプソン氏

    モデルベースでの設計開発のメリットと、PTCのアプローチについて語るトンプソン氏

またそのアプローチの1つとして、2023年5月のLiveWorx 2023にて、「Creo 10」および「Creo+」の提供に関するアナウンスを予定しているとのことで、詳細については「5月のLiveWorxを楽しみにしていてほしい」と話した。