双日は2月9日、多国籍企業Orbiaにてフッ素関連事業を扱うメキシコのMexichem Fluor(ブランドネーム:Koura)およびその日本法人メキシケムジャパンと共同で、今後の需要拡大が期待されるフッ素化合物の国内安定供給体制の構築を目指し、福岡県北九州市との間で立地協定を締結したと発表した。

  • 北九州市で行われた立地協定式

    北九州市で行われた立地協定式。左から北橋健治 北九州市長、双日の藤本昌義 社長、Kouraのグレッグ・スミス社長、メキシケムジャパンの駒井亨 社長 (出所:双日)

同協定を踏まえ双日らは今後、北九州市の響灘臨海工業団地にて、フッ素化合物の原料となるフッ化水素の製造拠点の建設を目指し、Koura保有の鉱山からの安定した原料調達体制を基盤とした日本国内におけるフッ素サプライチェーンの強化を図るという。新工場は2025年度の完工、2026年からの生産開始を予定している。

また、本取り組みは経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金(第3次公募)」にも採択されており、国内産業の安定成長に貢献するものと期待されている。

  • 北九州市の響灘臨海工業団地の位置

    北九州市の響灘臨海工業団地の位置 (出所:双日)

日本のフッ化水素の国内需要分は現状、中国の特定企業から原液として輸入して国内で不純物を除き精製したものがほとんどである。2019年に経済産業省(経産省)が対韓半導体素材輸出規制を開始した際も、日本はフッ化水素原液の製造国ではないことから、韓国側は、中国や台湾からの輸入に切り替えることで、Samsungをはじめとする韓国内の半導体やディスプレイメーカーの製造を継続させた。

今回の取り組みは、Kouraの有する世界最大級の蛍石鉱山やフッ素原料および各種フッ素化合物プラントの操業実績と、双日が有する事業運営ノウハウや販売ネットワークを掛け合わせ、日本国内では初となるメキシコ産蛍石を用いたフッ化水素製造を目指すものであり、双日では、この取り組みを通じて、日本国内におけるフッ化水素およびフッ素化合物サプライチェーンの強靭化、さらにその川下産業の発展に貢献したいとしている。