台湾の鴻海科技集団(Foxconn Technology Group)は2月5日、2023年1月の連結売上高が、前年同月比48.1%増、前月比4.9%増の6604億NTドルとなったことを発表した。

春節(旧正月)に伴う休暇による稼働日数の減少の影響を受けず成長した点に注目が台湾の業界関係者より集まっているという。春節の休暇は2022年は2月であったが、2023年は1月で、稼働日としては前年の31日に対し、2023年は約20日ほど。にも拘わらず、好調な売上高を記録した背景について同社では、中国の鄭州工場での通常生産の再開と出荷の増加によるものであると説明している。

また、カテゴリ別としては、前月比で「コンシューマースマート製品カテゴリー」および「コンピューター端末製品カテゴリー」は成長を維持したものの、「クラウドネットワーク製品カテゴリー」と「コンポーネントおよびその他の製品カテゴリー」が減少したという。

鴻海が半導体とEVの戦略責任者をリクルート、事業拡大を模索

傘下の受託生産大手である鴻海精密工業は、2022年11月末に、TSMCやSMICの経営幹部を歴任した蒋尚義氏を、新設した半導体事業の最高戦略責任者(CSO)に起用し、半導体分野へ本格的に乗り出す姿勢を見せた。

同社子会社でグループの半導体事業投資会社であるBig Innovation Holdings(BIH)とマレーシアのIT/eService プロバイダDagang NeXchange Berhad(DNeX)は、2022年5月に共同で、マレーシア国内に半導体前工程工場を建設・運営する合弁会社を設立する覚書(MoU)を調印し、28nmおよび40nmプロセスを用いて、電気自動車(EV)向け車載半導体を月産能力4万枚(300mmウェハ)で生産する計画を掲げている。

また、鴻海は、英国系鉱業・天然資源大手ベダンタ・グループとインドのグラジャラート州アーメダバード地域に半導体製造、半導体組み立て・検査などの工場を設置する準備を進めているともされている。

すでに鴻海は、2021年にMacronix International(旺宏電子)から台湾・新竹科学園区の6インチ(150mm)ウェハファブを買収するとともに、台湾の受動電子部品メーカー国巨(Yageo)と合弁で「国創半導体(Guochuang Semiconductor)」を設立して、半導体製造に向けた基盤を着々と整えつつある。

加えて鴻海は、2022年9月に日本電産の社長兼C0Oを辞任した関潤氏を、2月1日付で電気自動車(EV)の最高戦略責任者(CSO)に任命。クルマづくりに精通し、EVの駆動用モジュールである電動アクスル(eアクスル)事業にも長けた人材を経営に取り込むことで、グループ全体としてのEV事業を加速させるものとみられている。グループとして、車載半導体の内製を含め、EV事業への本格参入に向けた準備を全方位で進めている模様である。