産業技術総合研究所(産総研)は8月26日、緊張によるストレスで皮膚から発生するガス物質(ストレスガス)である「アリルメルカプタン」を識別できるセンサアレイを開発したことを発表した。

同成果は、産総研 極限機能材料研究部門 電子セラミックスグループの崔 弼圭研究員、増田 佳丈研究グループ長らの研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

ヒトは緊張などによって皮膚からストレスガスが発生し、その成分としては「アリルメルカプタン」、「ジメチルトリスルフィド」などが知られている。これらの発生を日常的に監視することで、健康状態の把握や疾病の予防に役立つものと期待されている。

しかし、ガスの成分を分析しようとした場合、これまではガスクロマトグラフィ質量分析や濃縮装置を併用する大型装置が必要で、しかもそれらは測定時間が長く、リアルタイム計測もできないという課題があった。こうした背景の下、産総研で着目して研究を進めてきたのが、小型かつ持ち運びが可能で、住宅や車内などにおいて、誰もがどこででも使えるガスセンサデバイスだという。

その中でこれまで、電子セラミックスグループが開発を取り組んできたのが、主に低濃度の揮発性有機化合物(VOC)を対象とした半導体式ガスセンサのセンサ材料やデバイスだという。特に、「酸化セリウムナノ粒子」を用いた、揮発性硫黄化合物(VSC)用のガスセンサは、口臭・歯周病向けの歯科用センサとして実用化済みだという。

また、肺がん判定指標となるバイオマーカーガスである「ノナナールガス」向けとして、「酸化スズナノシート」からなるセンサ感応膜を用いたガスセンサも開発。同センサ感応膜は優れたガス応答特性を示すと共に、その特性がガス反応性の高い酸化スズナノシートの表面構造などに起因することも解明済みだという。

今回の研究では、これらの技術をベースに、皮膚ガス測定によりストレスケアに活用できるポータブルガスセンサデバイスを目指し、ストレスガスを検知し、かつほかのバイオマーカーガスの中から識別できるセンサアレイの開発に取り組むことにしたとする。

具体的には、酸化スズで構成されるセンサ感応膜のナノ構造を制御し、ストレスガスを高感度で検知できるガスセンサだという。