東京大学生産技術研究所(東大生研)は7月5日、スパッタリング法を用いて高品質な窒化物半導体結晶を合成する手法を開発し、新規電極結晶「縮退GaN」の合成に成功。次世代パワー半導体材料「窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)」と接触させることで低抵抗な高性能AlGaNトランジスタの試作に成功したことを発表した。

同成果は、東大生研の前田亮太大学院生、同・上野耕平助教、同・小林篤特任准教授、同・藤岡洋教授らの研究チームによるもの。詳細は、応用物理学会が刊行する学術誌「Applied Physics Express」に掲載された。

次世代パワー半導体材料であるSiCやGaNは現在、実用化が進められている。一般に、軽元素で構成される半導体は絶縁破壊耐性が高いとされており、GaNの場合も、Gaの一部をより軽いAlで置き換えたAlGaNとすると、より高い絶縁破壊耐性を有する結晶となることが確認されている。そのため、AlGaNの次世代パワー半導体材料としての活用に期待が寄せられるようになっている。

しかし、AlGaN半導体中の電子はエネルギー状態が高く、外部からの電子の注入が困難なため、電極部の抵抗が大きくなり、これまで良好な特性を持つトランジスタを作製することが難しかったという。また、GaNやAlGaNといった窒化物半導体の成長には高価な結晶成長法であるMOCVD法が使われるため、素子の製造コストが高いことも課題となっていた。

そこで研究チームは今回、一般的なシリコン半導体の製造工程などで活用されている薄膜を効率良くかつ安価に生産できるスパッタリング法を用いて、品質の高い窒化物半導体結晶を合成する手法を開発することにしたという。