現場からみた半導体・電子部品の供給不足

一方、同社代表取締役社長の戸澤正紀氏は半導体商社のトップとして半導体不足を体験。コロナ禍でオンライン取引がさまざまな規模の企業であっても当たり前となったことに加え、半導体不足の中、とにかく在庫が欲しいという顧客ニーズに応えたことで、2021年度の業績が前年度比209%増の261.4億円となり、そのおよそ半分がオンライン取引によるものとなったという。

  • コアスタッフの業績推移

    コアスタッフの業績推移 (資料提供:コアスタッフ)

ただし、「この売上額は自社の正しい評価になっておらず、あくまで半導体不足で生じたもの。いまでも通常価格の20~30倍の値がついているものもある。2022年度は2021年度が良すぎただけに、反動があると思っているが、少なくとも現時点では大手メーカーには在庫がたまってきているものの、中小企業はまだまだ不足しているところも多く、数カ月はこうした状況が続く」と、あくまで2021年度は通常から逸脱した状態であったとの見方を示す。

そうした半導体の需給バランスが崩壊していた2021年度、同社の顧客からの注文が多かった不足していた半導体製品はレガシープロセスで製造された少し前の電源系ICであったりDC/DCなどのアナログ半導体といった、一般的な半導体だという。また、FPGAやマイコンなども一部、厳しい状況が続いているとしており、同社では2022年に米国FPGAスタートアップEfinixとの取引を開始するなど、代替品の提供を模索する動きを見せている。「集積回路/ICはディスクリート含め、受注規模が大きかった一方で、ICの納入は現状もそこまで良くない」とするほか、「金額的には見えにくいが、モジュールの確保も難しかった」とする。

  • コアスタッフの製品カテゴリ別受注割合の推移

    コアスタッフの製品カテゴリ別受注割合の推移 (資料提供:コアスタッフ)

2022年以降、半導体不足はどうなっていくのか?

また、2022年度に入ってからについて「全般的な不足傾向は解消しつつあるが、一部ではさらに悪化しているものもあり、二極化しているイメージ。当たり前だが、顧客は製品を製造する際に100点の部品が必要だとして、その内の1点でも入手できなければ完成しないため出荷ができないこととなる。入手できる製品も増えてきているため、それらは在庫として抱えることとなり、不足している製品が絞り込まれてきたため、顧客がそうした足りない部品を調達する意欲が高まっている」とのことで、需要は鈍っていないという感触だとする一方、「半導体不足は最終的には一時的にしろ終息に向かうと思うが、それがいつになるのかについては、今のところ読めない」と、今後に対する懸念点を挙げる。

そのため、今後のシナリオも4つに分かれて想定しているとする。1つ目は、2022年夏~2022年秋ころのもので、2021年に2重発注、3重発注を行った製品が順次、顧客に納入される段階。これによりリピート発注が止まり、不足している半導体の生産が進み、在庫不足が解消されるというもの。

2つ目のシナリオは2022年秋~2023年にかけて。半導体不足の対応に向けて半導体メーカー各社が進めたライン増強の効果が出て、ある程度の量の半導体が供給されるようになり、それにより不足が解消されるというもの。3つ目のシナリオは2024~2025年で、半導体メーカー各社が進めた新工場が本格稼働し、それにより不足が解消されるというもの。そして4つ目のシナリオが、まだ見えていないアプリケーションを含めた半導体需要の増加により、半導体不足が慢性化するというものだという。

  • 今後の半導体不足4つのシナリオ

    コアスタッフ戸澤氏が考える今後の半導体不足4つのシナリオ (資料提供:コアスタッフ)

新たなサービスの提供により顧客ニーズへの対応を強化

いずれにしても、コアスタッフとしては、最先端プロセス製品を納入することは比較的多くなく、25~55nmのレガシープロセス品が多いことから、その一昔前のプロセスの生産能力がいかに増加していくかがポイントになっていくと見ており、現在、中国、台湾のファウンドリなどが進めているそれらのプロセス世代のライン増強を期待したいとする。「2021年度ができすぎであったので、事業としてはその前の規模に戻る可能性も最悪のケースとしては想定されるが、この1年間で顧客数の増加などもあったので、そこまで下落することもないとは思うが、まったく読めない。発表資料を作成していても思ったが、先の展開を読む中で、市場を取り巻く戦争、災害、感染症、物価高、円安、人口減少、人材難、需要の減少などといった複数のリスクが複雑に絡み合う“ハイパーリスク”の社会となっており、難しい時代になっている」と戸澤氏は心情を吐露。それでも社会変革の中における顧客からのニーズ変化の機微を捉える取り組みも進めており、2024年度に長野県佐久市に自動倉庫型ピッキングシステムを導入予定の新物流センターを稼働させる予定としているほか、2022年度中にはRoHS2(従来のRoHS 6物質に加え、フタル酸系の4物質を含んだもの)の半導体・電子部品における含有検査サービスを行うべく設備投資を進める計画であることを明らかにした。

  • 新たな物流センターは2024年度に稼働

    2024年度には規模を大きくし、さまざまなニーズに応えられる新たな物流センターを稼働させる計画 (資料提供:コアスタッフ)

また、このROHS2の検査・証明サービスについては、アジアで提供しているところはないとのことで、タイの子会社を通じて、国内の顧客の反応を見つつ、海外進出している日系企業を中心に、アジアでの展開していきたいともしている。

  • フタル酸系の4物質の含有検査をサービスとして提供する

    数千万クラスの質量分析計を新たに導入することでフタル酸系の4物質の含有検査をサービスとして提供する (資料提供:コアスタッフ)