車載半導体市場は、新型コロナの影響を受け、不足が続いていたが、徐々に供給が回復しており、自動車市場の回復などもあり、2025年までに年平均成長率(CAGR)12.3%で推移し、800億ドルを超えるまでに成長するとの予測を、市場動向調査会社の英Informa(ブランド名:Omdia)が発表した。

自動車の半導体搭載量は過去10年間にわたって増加傾向にあり、近年はさらに、電気自動車(BEV)の販売増や先進運転支援システム(ADAS)およびインフォテインメントおよびテレマティクス(I&T)システムの需要の増加など、E/E(電気/電子)化のトレンドも重なり、急成長を遂げている。

Omdiaの自動車用半導体のシニアリサーチアナリストであるSang Oh氏は、「平均的なBEVは、従来の内燃機関を搭載した車両の2.9倍の半導体売り上げを生み出す。さらに、パークアシスタンスや衝突警告用のカメラモジュールなどのADASアプリケーションに加えて、アナログまたはハイブリッド機器クラスターからデジタルクラスターへの移行などのI&Tアプリケーションも、半導体コンテンツの増加を促進している」と述べている。

新型コロナのパンデミックによる自動車産業の停滞は2020年第3四半期以降、徐々に回復をはじめ、2021年の自動車生産台数はサプライチェーンの混乱があったものの、前値日2.5%増と前年実績をわずかに上回る程度であるものの、同年の車載半導体市場は前年比28.6%増の516億ドルと大きく成長したとOmdiaでは推定している。

この背景についてOh氏は、「自動車用半導体市場の成長率が業界全体の成長率を上回ったのは、供給が制限されたために自動車用半導体の平均販売価格が上昇したことに加え、電子機器メーカーが事前注文し、通常在庫に加えて安全在庫を増やしたためである」と説明している。

  • 2019年から2025年の自動車用半導体市場推移予測

    2019年から2025年の自動車用半導体市場推移予測 (出所:Omdia)