Space BDは3月3日、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」での高品質タンパク質結晶生成実験(PCG)の民間パートナー実験枠を利用した実験サンプルの回収に成功したと発表した。

  • ミッションの打ち上げの様子

    ミッションの打ち上げの様子 (C)SpaceX

同サンプルは、2021年12月21日に米国フロリダ州のケネディスペースセンターからSpaceXの「Falcon 9」ロケットで打ち上げられ、12月23日から日本実験棟「きぼう」での実験を経て、2022年1月24日に帰還したものだという。

同社は2021年12月2日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から民間パートナーとして選定された日本実験棟「きぼう」での高品質タンパク質結晶生成実験事業において、国内外の企業・研究機関から宇宙実験の受注契約を締結したことを発表していた。

今回の宇宙実験サンプルの打ち上げ・回収ミッションでは創農薬研究および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する創薬研究を目的としており、国内外の企業・研究機関4社と契約した11の実験を行ったという。

今回の実験に参加したアグロデザイン・スタジオは、農薬の安全性を向上させるため、病害虫や雑草の重要なタンパク質の働きを直接阻害する分子標的農薬を研究開発しており、宇宙実験を活用し、信頼性の高いタンパク質結晶の構造データを取得することで、効率的な農薬デザインを実施していくとしているほか、National Synchrotron Radiation Research Center(台湾)は、大腸菌から生成したウイルス様粒子を宇宙空間で結晶化させ、X線解析を用いてウイルスの構造や感染のメカニズムを解明していくとしている。また、同じく実験参加機関であるLaboratório Nacional de Biociências/Centro Nacional de Pesquisa em Energia e Materiais(ブラジル)はCOVID-19の原因ウイルスを構成するNタンパク質を宇宙の微小重力環境下で結晶化し、X線回折により当該タンパク質の立体構造解明を目指すとしている。