日本の基幹ロケット・H3がいよいよ6月10日、再び飛び立つ。今回打ち上げられる6号機は、同ロケットでは初めての形態。現在、射場であるJAXA(宇宙航空研究開発機構)種子島宇宙センターの大型ロケット組立棟(VAB)で整備が進められているところだが、5月24日、現地で取材する機会を得ることができたので、その様子をお伝えしよう。
そびえ立つ30形態、写真と動画でじっくりチェック
H3ロケットには、打ち上げ能力が高い順に、24形態、22形態、30形態という3つのバリエーションがある。この3つのうち、22形態(6機)と24形態(1機)はすでに飛行実績があり、最後に残るは30形態のみ。今回、この30形態が打ち上がれば、当初から構想されていた3種類がすべて出揃うわけで、大きな節目のフライトと言える。
30形態の最大の特徴は、22形態や24形態と異なり、固体ロケットブースタを搭載しないことだ。日本のこれまでの大型液体ロケットは、半世紀前のN-I以来、すべて液体エンジンと固体ロケットブースタの組み合わせであり、ブースタなしの打ち上げはこれが初めて。エポックメイキングな形態であり、ある意味、最も"H3らしい"と言えるだろう。
H3は全体的に大きくコストダウンが図られたロケットであるが、高価なブースタが不要になる30形態は最も安価。もちろん、能力的には3形態の中では最も弱くなるものの、太陽同期軌道(SSO)に4トン程度の衛星であれば打ち上げが可能だ。当面は政府衛星がメインとなる見込みだが、商業打ち上げの受注という観点でも、大きな意味がある。
今回、種子島宇宙センターのVABで公開されたのは、H3ロケット6号機の第1段。筆者は以前、初号機がVAB内で公開されたときも取材しているので、興味がある人はそちらと比較してみて欲しい。
報道陣がまず案内されたのは、VABの4階。ここでは、巨大な第1段を一望することができた(といっても、巨大すぎて液体酸素タンクは天井に隠れて見えていないのだが)。気がつくのは、断熱材のオレンジの色の濃さ。6号機の第1段機体は種子島ですでに3年以上保管されており、その分、酸化が進んだ。まさに“完熟”の色だ。
【動画】1枚の写真に入りきらなかったので、動画でどうぞ
この見えている範囲については、ほぼ22形態や24形態と同じなのだが、1点、分かりやすい違いは、外部に付いている銀色の配管。これは上にある液体酸素タンクから、液体水素タンクの外側を迂回して、LE-9エンジンに液体酸素を送るものだ。当然ながら、30形態ではこれが2本から3本に増えている。
そしていよいよ、第1段のエンジン部だ。これこそ、まさに30形態の最も特徴的といえる部分である。報道陣は10mほど離れた場所から、ほぼ目線の高さにあるエンジンを見ることができた。
H3ロケットは、移動発射台(ML5)にめり込む形で置かれており、LE-9エンジンは、地面にかなり近い位置にある。そのまま取り付けようとすると高さが足りないため、LE-9エンジンは上下に2分割できるようになっている。なお、ノズルには半透明のカバーが付いていたが、これは通常、打ち上げ2日前に外すとのことだ。
LE-9エンジンの3基クラスタは、筆者は田代試験場でのBFT(厚肉タンクステージ燃焼試験)後にも目の前で見たことがあるのだが、やはりパワフルな印象だ。LE-9エンジンの推力は150トン。つまり、これ3基で450トンもの巨大な力を生み出し、271トン(衛星含まず)もある機体でも余裕で持ち上げることができるというわけだ。
H3ロケットは、これまで7機を打ち上げて失敗が2回と、厳しい船出となってしまったものの、原因は初号機が第2段、8号機が衛星搭載構造と、エンジンも含め大胆に設計が変わった第1段ではなかった。今のところ第1段は100%成功しており、今回もしっかり役目を果たしてくれることを期待したい。























