東レは10月27日、東レ100%子会社であるハンガリーのリチウムイオン二次電池(LIB)用バッテリーセパレータフィルム製造・販売会社「Toray Industries Hungary」(THU)に対し、韓LG Chem(LG化学)が3億7500万ドル(約430億円)を出資し、THUを存続会社とした、持分比率50:50の合弁会社「LG Toray Hungary Battery Separator」(LTHS)を設立することに合意したことを発表した。

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    オンラインで開催された合弁企業設立調印式に臨む東レCEOの日覺昭廣氏とLG Chem CEOのHak Cheol Shin氏(出所:LG Chem Webサイト)

今回の合意により、合弁会社はTHUの現有設備にて車載用LIB向けバッテリーセパレータフィルムを製造し、LGグループの欧米拠点向けにそれを販売することを目指すこととなる。

また、今後の需要拡大に備え、現在のTHU敷地内におけるフィルム基材の製膜設備増強ならびに、コーティング加工設備の新規導入を進めていくほか、合弁会社設立から2年半経過後に東レ持分の20%をLG化学に有償譲渡し、以降はLG化学が経営・事業の主体を担うことにも合意したという。

車載向けLIB用バッテリーセパレータフィルムにおいて、LG化学はコーティング技術、東レはフィルム基材の製膜技術にそれぞれ強みを持ち、これまでグローバルに製品を供給してきたが、欧州での事業はLG側に任せるようである。

合弁会社では、LG化学、東レ、それぞれが保有するLGグループLIB用セパレータ製造に必要な技術をライセンス供与し、両社の強みを生かしてシナジーを発揮することで、成長が期待される車載用途向け高品位LIB用バッテリーセパレータフィルムの製造を進めるほか、LGグループの電池素材から電池製造まで一貫した垂直事業モデルのもとで安定的な販売先を確保し、事業拡大を進めて行くとしている。

なお、東レグループが日本・韓国に持つ各バッテリーセパレータフィルム関連拠点(製膜およびコーティング加工)については従来通り、東レグループが開発・生産・供給を継続するという。