私たちの日常生活にIoTがもたらす影響について、さまざまなことが話題になっています。ホームセキュリティシステムからスマートウォッチに至るまで、IoTは私たちが日々活用している技術を向上させ、相互接続されたデバイスのネットワークを構築しています。では、IoTとはどのようなものでしょうか?。そしてIoTは、さまざまな産業にどのように普及しているのでしょうか?。

IoTの仕組み

IoTとは、デバイスをインターネットや他のコンピューターデバイスに接続する仕組みのことです。センサーを搭載した接続デバイスのネットワークによって、人の介入を必要とせずに、環境からデータを収集し、そのデータに基づいてデバイスを制御することができます。

では、Internet of Thingsの「Things(モノ)」とは具体的に何を指しているのでしょうか?。「モノ」は、インターネットプロトコル(IP)アドレスが割り当てられ、ネットワークを介してデータを転送できるあらゆるものが該当します。例えば、交通事故の発生時にドライバーの家族などに通知する自動車や、あと数歩で運動の目標が達成されることを所有者に知らせるスマートウォッチなどです。

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一般的なIoTの活用事例

IoTデバイスの需要は高まる一方です。調査会社のIDCは、2025年までにコネクテッドIoTデバイスは420億台近くまで増加し、産業セクターおよび自動車セクターが大きな成長を遂げると予測しています。言い換えると、毎秒127台のデバイスが新たにインターネットに接続されることになります。

ほとんどの人はすでにIoTを活用しています。例えば、スマートスピーカーは米国において31%の家庭で使用されており、2025年までに75%に増加すると予想されています。自宅の照明の操作から飛行機での移動に至るまで、IoTは気付かぬうちに日々のライフスタイルを着実に向上させています。

それだけではありません。歩道のモーションセンサーや自宅のスマートサーモスタットなどのデバイスは、注目すべきIoTの応用例です。IoT市場は猛烈な勢いで成長を遂げています。今後2年以内に、インターネット接続機能を搭載した自動車の割合は70%に達することが予想されています。

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世界中の活用事例(ユースケース)

コスト効率に優れたチップ技術と無線ネットワークの向上によって、インターネットに接続されていなかったモノもセンサーを介して接続できるようになったため、いわゆるデジタルインテリジェンスがデバイスに追加されています。また、コロナ禍によってIoT技術の必要性がかつてないほど高まり、教育機関、企業、政府はリモートで運営されています。さらに、技術革新によって、上位10位に入る成長中のチップの各市場が大幅に売り上げを伸ばすことが予想されます。ここで、世界中のIoT活用事例を紹介します。

インドでは、IoT技術によって農業セクターが著しく成長しています。FasalのIoTデバイスが導入された約40平方キロメートル(1万エーカー)を超える農場では、30億リットル以上の水が節約されています。このデバイスは、生産性を向上させる農場運営方法について、これまでになかったインサイト(知見)を農場経営者に提供しています。具体的には、センサーと送信機を活用し、農場経営者が水分量を観察して白かびを発生前に確認できるようにし、水の節約に役立てています。インドの複数の農場経営者が、このデバイスの使用により収穫量を単年で20%増加させました。

中国はIoTを活用して、家電製品、自動化、産業、運輸、医療における取り組みを強化しています。実際に、2015年にはIoT開発を重視した「中国製造2025」の取り組みを開始しており、中国は今後3年以内に世界最大のIoT市場として米国をしのぐことが予想されています。また、中国は世界のIoT支出の約27%を占めています。中国は、交通量、ナビゲーション、自動車走行速度など、交通に関わる要素をモニタリングするために自動車産業に投資しています。

米国もIoT技術で自動車産業を盛り上げています。IBMのWatsonを活用して車両にIoTを取り入れ、接続だけでなく、空間認識や、アダプティブクルーズコントロール、ブラインドスポット認識を支援しています。センサーを使用しているコネクテッドカーは、走行履歴の測定、リアルタイム分析の共有、車両故障予測を行うためのインサイトと適切な車両統計データをドライバーに提供できます。

欧州では、特に消費財と製造の分野でIoT技術による発展が見られます。欧州のIoT市場規模は急速に拡大しており、世界のIoT支出の23%を占めています。消費財市場以外にも、電気・水・ガスの効率的な供給を目指し、スマートグリッドを開発するために公共事業に多額の投資が行われています。

都市と技術が発展し続ける中、IoTの能力をよりどころにする産業も増え続けるでしょう。チップ技術を基盤とする自動車産業や、医療産業、農業などはすでに飛躍的な発展を遂げており、これからも進化し続けることが見込まれます。

IoTは、よりスマートかつ安全で持続可能な世界を実現しつつあります。接続されるモノが増えれば収集されるデータも増加し、日々の暮らしを継続的に変革する可能性が生まれます。