IC Insightsによると、過去10年間の平均成長率16%のCMOSイメージセンサ市場は2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により前年比3%増にとどまるものの、2021年は力強い高成長の勢いを取り戻し、同19%増の228億ドルになるという。
2020年前半、新型コロナの感染拡大に伴い、世界的な巣籠りとなり、さまざまな機器でのCMOSイメージセンサ需要が急減してしまったことが背景にあるという。
2020年第2四半期には、イメージセンサ大手のソニーが、世界中でスマホ需要が減少したために、半導体事業が悪化していると公表していた。しかし、その需要は同年第3四半期に改善し始め、2020年末までに、同社のCMOSイメージセンサの売上高はわずかながらプラス成長を記録、通年の売上高は83億ドル近くになった。2006年にCCDよりもCMOS技術を重視し始めて以来、2020年のソニーのCMOSイメージセンサ事業は成長率という点では最悪の年だったとIC Insightsは見ている。
日本の半導体業界関係者によると、ソニーにとってAppleのiPhoneに次いで2番目の大口顧客だった中Huaweiに関する米国商務省の輸出規制により、ソニーは一時、輸出を止めざるを得なかったという。その後、一部製品のライセンス(輸出許可証)を得たが、5Gのハイエンドスマホ向け高性能イメージセンサをHuaweiに販売できなかった影響が大きかったようだ。一方、iPhoneの売れ行きが好調であったことから、かろうじてHuawei分の埋め合わせができ、2020年の売上高は前年比横ばいになったようである。Huawei以外の中国スマホメーカーへの販売はできるが、Huaweiほど高性能イメージセンサを必要としていない模様で、Samsung製が優勢だという。
今後は金額ベースで12%、 数量ベースで15%年成長へ
CMOSイメージセンサ市場は2021年に勢いを取り戻すと予想されている。5G対応スマートフォンやマシンビジョンアプリケーションなど、より多くのカメラがシステムに組み込まれることが予想されるため、今後5年間の年平均成長率12.0%(金額ベース)で増加し、2025年には336億ドルに達するとIC Insightsは予測している。数量ベースでは、2020年の67億台に比べて2025年には135億台へと年平均成長率14.9%で成長すると予測される。
車載向けは年平均成長率34%と急成長
今後5年間でCMOSイメージセンサ市場で成長するアプリケーション分野は自動車で、売上高は年平均33.8%で増加し、2025年には51億ドルに達するとIC Insightsは予測している。
2025年時点でのCMOSイメージセンサのアプリケーション別市場規模の予測は、成長率の高い順に以下の通りとなっている。
- 自動車:33.8%/51億ドル
- 医療および科学システム:26.4%/18億ドル
- セキュリティ:23.2%/32億ドル
- ロボットやIoTを含む産業用:21.8%/35億ドル
- 携帯電話:6.3%/157億ドル
なお、CMOSイメージセンサの最大市場である携帯電話は、2020年には116億ドル規模で市場の61%を占めていたが、2025年には157億ドルに達するものの市場シェアは41%に低下するとIC Insightsは予測している。