ベルギーimecは、これまでの研究から半導体配線材料としてCuやCoを3nmまで延命可能であると報告をしているが、今回、新たにSemicon West 2018に併せて開催された「imec Technology Forum USA 2018」において、3nm以降の超微細プロセスにおける半導体配線材料としてのルテニウム(Ru)の可能性について報告を行なった。

今回の研究では、高アスペクト比率のRu配線は従来のCu配線より優れていることを(1)埋め込みパワー(電源)レール用途、(2)金属エッチングを用いた先端メモリおよびロジック向けの相互接続という2つの異なる用途において実証を行ったと言う。

BEOL(配線層)のインタコネクトにCuのデュアルダマシン構造を用いる場合、プロセスの微細化が進むごとにRC遅延が増大し、信頼性上の問題も大きくなっていく。そのため、5nmプロセスノードを超えて使うことは、厳しくなる可能性が指摘されている。そのため、imecでは代替材料の探索を進めてきたが、Ruは、酸化に対する耐性、高融点、低バルク抵抗率、そしてバリア膜(層)を不要にできる、といった特性があるため、有望視されている。 今回、imecは2つの異なる実装シナリオでRuベースのインタコネクトを検討。1つ目のアプリケーションは、アスペクト比(AR)が最大7、限界寸法(CD)が18nmのRu配線をPower Railとして使用し、FEOL酸化膜分離層に埋め込んだというもの。近年、プロセスの微細化を可能とするスケーリングブースタとして埋め込み型のPower Railが登場してきており、今後の活用が期待されている(従来、Power Railはメタル第1層にCuで実装されてきた)。検証の結果、低効率8.8μΩcmならび高温処理に対する高い安定性があることが確認され、これらの特性から、5nm以下のプロセスにおける埋め込み方Power Railとして適用できる可能性が示されたとする。

2つ目のアプリケーションは、5nm未満のプロセスにおけるBEOLインタコネクトの実現に向けたRu膜のサブトラクトエッチングの適用。サブトラクトエッチングは、ウェハ全面に形成した導体薄膜から不要な部分をエッチング液を用いて溶解除去して必要な導体パターンを残す方法で、アルミ配線やプリント基板では広く使われてきた。今回の研究では、3nmに向けて、アスペクト比が最大3.8、ライン抵抗が500Ω/μm以下の12nm Ruラインを形成。imecでは、従来、Al配線を集積するために用いられてきたサブストラクトエッチングが、Ruのダマシン構造形成に有効な手段となりうることが分かり、メモリやロジックIC向けに活用できるめどが立ったと説明している。

  • imecによるRu配線の検討結果

    左がサブトラクトエッチングによって形成されたRu配線の厚さをパラメータとしたCD測定値と抵抗率の関係。アスペクト比3~5、CD 12nm以上なら抵抗の目標値を達成している。右が埋め込みRuレールの断面積と抵抗率の関係。高温アニールにより抵抗率が低減している (出所:imec)

このほかimecでは、これまでに蓄積してきたSiデータとモデリングを用いることで、将来のシナリオにおけるRuの抵抗挙動を予測することを可能にするモデリング技術を開発。これを用いて探索を行なったところ、Ruに加えて、他の純金属、グラフェン、2次元および3次元化合物が、将来の潜在的なインタコネクト材料となることが判明したとしている。