ジャパンディスプレイ(JDI)は1月23日、低温poly-Si(LTPS)技術をベースとした透明な静電容量式ガラス指紋センサを開発したことを発表した。
同センサは、同社の主力事業である「スマートフォン(スマホ)」「車載」に次ぐ第3の事業の柱を生み出すべく開発されたもの。同社がスマホやデジタルカメラ向け液晶ディスプレイで展開している「Pixel Eyes」に搭載しているタッチ入力技術の原理を応用することで、ガラス基板上に触れた指紋の凹凸による静電容量の変化を検出ことを可能とした。
今回開発に成功したのは、8mm×8mm(0.45型)とするが、同社では大型サイズや小型サイズへのラインアップ拡充も可能だと説明する。解像度は160×160、精細度は508dpi、256階調で、コントローラICなどの周辺技術についても、JDI執行役員ディスプレイソリューションズカンパニー社長の湯田克久氏は、「そこまでやる必要があれば対応を検討していく」としており、ディスプレイ技術のみにこだわるわけではなく、同氏が率いるカンパニーの名称にも示されるように、ソリューションとして「モノづくりだけでなく、コトづくりを推進するディスプレイカンパニー」を目指していくとする。
そのため、同カンパニーでは、2020年度(2020年3月期)に売上高1000億円規模を目指すとしており、現在の主軸であるデジタルカメラ向け液晶ディスプレイならびに、現在、事業が立ち上がりつつあるウェアラブル向け液晶ディスプレイに加え、今回のような新たな製品技術を市場に投入していくことで、事業の拡大を図っていきたいとしている。
ただし、闇雲に新技術で新ソリューション・サービスを展開するつもりもなく、今回発表したセンサ技術も、同社の得意とするLTPSがベースに存在しており、今後も、LTPS技術を活用した形の新たなデバイス開発を機軸にソリューション開発を進めていくとしている。
なお、同センサは2018年度中に、同社の中でもっとも小型ガラス基板(第3.5世代)に対応している東浦工場にて量産を開始する予定としており、そこからビジネスを拡大していく計画。「透明静電容量式ガラス指紋センサの商用化は世界初となる」と同社では説明しており、すでにスマートフォンベンダではないとする顧客も確保済みだとしている。
また、透明であるため、バックライトと組み合わせたり、ディスプレイ表示と組み合わせたりといろいろと応用展開が可能なことから、大画面への対応なども含め、見込み顧客を含め、スマートフォンやPCといった既存デバイスにこだわらない市場開拓を進めていくことで、「2020年度1000億円規模の売上達成時には、現在の主軸や将来の新ビジネスなども含め、それぞれがほどよいバランスの規模に成長することを目指す」(湯田氏)としており、今後も引き続き、新規事業の立ち上げや新製品の開発をカンパニー制という身軽さを武器に、いち早く開発して、市場に提供していくことで、事業の拡大を図っていきたいとしていた。