台湾TrendForceが11月9日に発表したスマートフォン(スマホ)の市場分析予測によると、年末商戦に向けた繁忙期の影響から市場は再び拡大傾向に向かっているという。

第3四半期は6%増、第4四半期も6.4%増と生産拡大が継続

2017年第3四半期の世界のスマホの生産台数は前年同期比6%増の3億8400万台で、中でも中国ブランドは合計で同20%増と大きく躍進した。同四半期の生産台数順位は、Samsung Electronics、Apple、Huawei、OPPO、Vivo、Xiaomiの順で、これは第1四半期ならびに第2四半期の順位と同じであった。

2017年四半期ごとのスマホ市場における6大ブランドの生産台数シェアと生産台数合計(最下段、台数:1000台)。第4四半期は予測) (出所:TrendForce)

また、第4四半期のスマホの生産台数は2017年のピークとなる前年同期比6.3%増の4億2500万台となる見通しだという。この結果、2017年通年の生産台数は14億6000万台規模になるとみられる。第4四半期の成長を支えるのがAppleで、iPhone X人気に支えられ、同社のシェアは首位のSamsungに肉薄しそうな勢いだという。

iPhone Xの勢いに押されるSamsung

市場シェアトップのSamsungは中国でいくつかの挫折を経験しており、そのシェアは下がり続けている。それにもかかわらず、同社はローエンドからミッドレンジ、ハイエンドまでのすべての市場セグメントをカバーする包括的なラインアップを用意し、かつ世界中の販売チャネルに向けて、きめ細かなネットワークを確立していることもあり、いまだに四半期ごとに平均して7500万~8000万台生産台数を誇っている。

第3四半期の生産台数もGalaxy Note 8シリーズのリリースと、ミッドレンジおよびローエンド市場でのGalaxy Jシリーズの好調な販売を背景に8100万台というほぼピークの値に達した模様だ。ただし、第4四半期は、ハイエンドモデルの生産が若干縮小されると見られるという。Appleが販売するiPhone Xの需要が強いためで、TrendForceでは、Samsungの第4四半期の販売台数は第3四半期に比べて5%減の7700万台に落ち込むと予測している。

またSamsungを追撃するAppleは、第3四半期の生産量を同3%増とした。主役はiPhone Xに先行して発売されたiPhone 8/8 Plusであり、iPhone Xは、主要コンポーネント(Wi-Fiモジュールや3D検出モジュールなど)の歩留まりが予想を下回り、十分な量を確保できなかったことから、生産量が限定的となったとする。ただし、第4四半期は、iPhone Xの生産量が合計で8100万台に達し、Samsungを追い抜くほか、全iPhone生産量の33%を占めるまでに成長すると推定されている。

中国ブランドが世界生産量の過半数を占める状況に

3位以下、6位までを占める中国ブランドは、それ以下のブランドも含め、第2四半期に行った主力製品のリリースにより、第3四半期に売り上げを伸ばした結果、世界のスマホ生産量の56%を占めるに至った。中でもシェア3位のHuaweiの販売数量は同9%増となったほか、第4四半期には年末商戦などの影響を受け4500万台に達する見込みだという。この結果、Huaweiの2017年の年間総計は約1億5000万台と予測される。

シェア4位のOPPOと同6位のVivoは、中国ブランドのみでみた第3四半期の順位ではそれぞれ2位と3位であった。第3四半期の生産量は前四半期比で平均5%増となったほか、第4四半期の合計販売数量も、第3四半期と同程度になると見込まれているとのことで、年間ベースで見ると、その合計販売数量は前年度比20%増と予測されている。

一方、シェア5位のXiaomiは、最新モデルMi MIX 2の勢いにより、第3四半期に2550万台を生産した。特にインドでは、XiaomiはSamsungのミッドレンジおよびハイエンドの市場セグメントでSamsungと闘うため、地元の携帯電話事業者と緊密に協力し続けており、こうした取り組みも併せて、同社の第4四半期の生産台数は、前四半期比10%増となる2800万台になるとTrendForceでは予測している。

第4四半期の世界の合計生産台数は前期比10.5%増

HTCとGoogleの間の取引(GoogelがHTCのスマホ事業の一部を買収することで合意)は、第3四半期にこれらの2つのブランドのそれぞれの生産量に大きな影響を与えなかった。しかし、TrendForceは、HTCのスマホ生産は将来にわたって縮小していくものと考えている。一方、Googleブランドは、スマホ市場のシェアを高める可能性が高いという。HTCから獲得する研究開発部隊が貢献することが期待されるためだ。

第3四半期のHTCのスマホ生産台数は、同46%減と急落した。一方のGoogleは、10月にPixel 2/2 XLをリリースしたことにより、HTCとは対照的に同約40%増と躍進しており、Googleは第4四半期も継続して出荷台数を伸ばすとTrendForceは見ている。

なお、第4四半期の世界の合計生産台数に関してTrendForceでは、iPhone Xの販売が好調であることから、前四半期比10.5%増の2桁成長になるとTrendForceでは予測しているほか、2018年になると、世界市場は徐々に飽和気味となるとも見ている。このため、半導体メモリはじめ部品コストの上昇をコントロールし、海外の販売チャネルを拡大することができるか否かが、各スマホメーカーの業績に影響を与える重要な要因になると同社では説明している。