オムロンは9月27日、自動運転の国際基準(R79)の改正などで議論されている、ドライバーの責任の下、システムが運転支援を行う自動運転における、ドライバーの責任の有無の明確化を可能とする「ドライバー見守り車載センサ」を開発したと発表した。

同社は2016年に、すでにドライバの運転集中度センシング技術を開発していたが、今回は、その技術をベースに、顔認識技術「OKAO vision」に対するセンシング技術と組み込み型ディープラーニング技術を進化させることで、ドライバーの責任の下で自動運転を行うための、「認知」「判断」「操作」の3つの要素を同時に総合的に判断できるシステムを実現したという。

3つの要素の1つ目の認知が、進行方向を注視しているか否かをチェックできる「Eyes ON/OFF」。一定以上の時間、別のところを見ていたり、スマホを見ていたり、ナビなどを見ていたり、後席の人と話をしていたり、目をつぶっているとOFFと判定される。2つ目の判断が、いつでも運転に復帰できる準備ができているか否かをチェックする「Readiness High/Mid/Low」で、いつでも運転できる準備状態をHigh、ナビの操作など、単純な操作を辞めれば運転に復帰できる状態をMid、体調不良だったり寝ていたりと復帰に時間がかかるのをLowと定義して判定する。そして3つ目が運転席にいるかどうかをモニタリングする「Seating ON/OFF」で、ドライバーが運転席に座っていればON、どこか別の席などにいたりする場合をOFFと判定するものとなっている。

仕組みとしては、光学カメラと近赤外光を組み合わせて得た顔などの画像を、時系列によるディープラーニング処理を行い、3つの指標の判定を行うものとなっている。今回、同社では、ディープラーニングを導入することで、横顔やマスク、サングラスをかけた状態であっても、高精度にセンシングが可能になったとするほか、名古屋大学などと協力して進めているHMHS(Human Machine Harmonization System)コンソーシアムでの数十名の実ドライバーの協力を得る形での実際の走行データの取得によるディープラーニングの学習などによる精度の向上などを図ることで実現できたとしており、2019年~2020年の自動車への搭載を目指すとしている。

「ドライバー見守り車載センサ」のデモ。インパネの下にカメラユニットを配置することで、ドライバーの状況を逐次監視できる。顔認識技術の精度向上により、サングラスやマスクをかけても、判断が可能となった

また、今後、ドライバーモニタリング市場は成長が見込まれていることから、2025年までに、アルゴリズムの提供から、コンポーネント、システム、サービスまで幅広い枠組みで事業化を進めていくことで、2025年までにAD(自動運転)/ADAS市場で総額200億円の売り上げを目指すとしている。

ドライバー見守り車載センサのコンポーネント。前部の出っ張り部分に光学カメラと近赤外光が設置され、後段にディープラーニング処理用のプロセッサなどが搭載されている。このフロントエンド部とバックエンド部は分けて利用することも可能なため、柔軟性の高いデザインも実現できるとのこと