オムロンは9月17日、顔認証や表情推定、年齢推定、視線推定、手検出など、人の状態を認識する画像センシング技術「OKAO Vision」の10種類のアルゴリズムとカメラモジュールを一体化した機器組み込み型の画像センシングコンポ「HVC(Human Vision Components)」を開発したと発表した。
現在、人が快適に感じる温度に自動設定するエアコン、人に合わせて最適に調光を制御する照明機器、購入者に最適な商品をお勧めする自動販売機、手の動きで操作する家電、人の表情に合わせて行動するロボット、運転者を認識する自動車など、機器への人の画像解析技術の導入が進みつつある。しかし、機器への高度なアルゴリズムの実装においては、組み込み機器のCPU性能やメモリ容量が十分確保できていない。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの知識や開発時間も必要とされる。このような状況に対し、HVCはコンポ内で画像解析までを完結させるため、組み込み機器に取り付けるだけで簡単に人の状態情報を取得することができる。
オムロンでは、様々な環境下で高精度な人画像センシングが求められるデジタルカメラ、携帯電話市場を中心に、ソフトウェアとして全世界で5億ライセンス以上の販売実績がある。さらに、画像処理アルゴリズムの処理を補う光学設計技術を保有している。HVCでは、これらの技術を組み合わせることで、機器が使用される屋内外の様々な環境下でも顔や人の確実なセンシングを可能としたという。
具体的には、ユーザーのCPU性能に関係なく、取り付けるだけで、高度な画像処理結果をセンサ出力として取得できる。検出できるのは、顔検出、人体検出、性別推定、年齢推定、視線推定、顔向き推定、顔認証、表情推定(満足、不満足。5つの表情:喜び、驚き、怒り、悲しみ、無表情)、手検出、目つむり推定といった10種類におよび、様々な観点で人の状態を認識する。
アプリケーションとしては、エアコンに利用すると、人の位置や人数が特定可能。さらに性別や年齢、個人特定により最適な空調に制御できる。また、POSレジ、自動販売機に設置することでマーケティングリサーチに役立つ。機器利用者の性別や年齢情報を収集し、さらに顔向き推定、視線推定、表情推定を用いることで利用者の興味や購買行動を推定できる。
なお、サイズは60mm×40mm、電源電圧は5V、入出力インタフェースはUART3.3V。今後、標準タイプを12月に発売し、各業界向けにハードウェア、光学系を最適化した用途特化型タイプを来年度以降に順次発売していく予定。